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事故から1ヶ月が経ち
やっと退院できた私は
我が家に帰ることを躊躇っていた
あの家に、もう両親はいない
帰ってくることはない
1人で孤独と闘う日々がこれから待ち受けているのだ
それに耐えられる気は全くしていなかった
それでも、頼るところなどない私は
鞄から鍵を取り出して家に入っていく
一歩そこに踏み入れれば
父と母の匂いと
思い出がぶわっと襲いかかってくる
それに耐えられなくなり
胸を押さえて座り込んでも
手を差し伸べてくれる人などいるはずもなかった
どうにか立ち上がりリビングに行けば
そこにある電話の留守番ライトがチカチカと光っていた
それを一つ一つ聞いていくと
全て母方の祖母からのものだった
優しい声で
「いつでもこっちに来てええからね」
と言ってくれるその声は
私の胸を締め付けるばかりで
安心を与えてくれることはなかった
初めて、自分から祖母に電話をかけると
だった2コールで出てくれた
「A?」
「おばあちゃん…」
「うん、何も言わんでええよ
おばあちゃんいつでも待っとるから」
たったそれだけの会話
久しぶりに呼ばれた名前は
私に違和感を感じさせていた
それから毎日、電話をくれる祖母は
「島においで」と言ってくれていた
それに応えることができなかったのは
父と母が残るこの家から出たくないのと
それを許してくれないあの人を恐れていたからだった
週に3日ほど来る叔母と従兄弟のおばさんは
出来合いのご飯を作り帰っていく
生きることを避けようとしていた私は
そのご飯に手をつける気にもならなかったが
残せば殴られてしまうので仕方なく口にしていた
何も味がしないそれは
お腹を満たしてくれることもなかった
従兄弟のおばさんは優しかった
私に冷たい言葉をかけることもなく
優しく微笑みかけてくれる
ただ、それを信じることができるほど
私の心は癒えていなかった
叔母は来るたびに罵詈雑言を叫び続ける
疫病神
人殺し
特にその2つは私の心にまっすぐに突き刺さる
私を見つめるその瞳は
とても冷たく、鋭いものだった
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ちょぽん(プロフ) - 作品夢中になって読んでしまいました。すごくドキドキして、本当に面白かったです。 (2018年11月7日 17時) (レス) id: 15a580132a (このIDを非表示/違反報告)
しょあ(プロフ) - はじめまして。とても素敵なお話で感動しました! (2018年11月1日 2時) (レス) id: a32bcb43cc (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - はじめまして!長編完結まで一気読みしてしまいました。島の風景がはっきり想像できるような情景描写や、主人公達の細やかな心理描写に胸が打たれました。AnotherStory楽しみにしています!! (2018年10月27日 19時) (レス) id: ed4a5c8a01 (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 長くなりましたが、こんなにも素晴らしい作品を読むことが出来て、公開して頂けて嬉しいです!長文失礼致しました。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
yuu(プロフ) - 是非とも実写で見たいと思う思わせてくれる作品だと思いました。クリアに想像できる風景。こちらがお話に引きずり込まれるような描写。本当に言葉が出てこないほど素敵な作品です。言葉にするのが難しいですが、今までサイトや本を読んだ中で一番の作品です。 (2018年10月27日 7時) (レス) id: 1250a32edd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:民 | 作成日時:2018年10月24日 17時