▽ ページ27
_
時は過ぎ暑い夏の日、夏休みになった俺は
貯金箱をひっくり返しかき集めた小銭を持って
商店街に向かうためにサンダルに足を突っ込んだ
「母ちゃん、商店街いってくるー！」
「Aちゃんと行くの？」
「違う、Aには言っちゃダメだから！」
「はいはい、分かったよ、気をつけてね」
「ねぇちゃんも行く？」
「いかなーい」
本当はねぇちゃんも着いてきてほしかったんだけど
生憎、テレビに夢中で返事も上の空だったし
あんまりしつこく誘うと怒りそうだったから
一人で行くことにした
「おばちゃん、・・・これちょうだい！」
「あら、岩田さんとこの名前何だっけ・・・」
「たかのり！」
「そうだったねぇ、たかちゃん、
男の子がこれ買っていったい何するの？」
「おれのお嫁さんにあげるんだ、
母ちゃんも父ちゃんから貰ったの、してたから！」
顔見知りのおばちゃんがやってる
小さなお店の中で、一番綺麗に輝くそれを買った
多分・・・五百円もしなかった
本当に安っぽい感じの子供じみたそれ
だけど小学生にとっては高価で
貰えば、おれなら・・・そうだな、宝物にするかな
そのぐらいの勢いだった
「じゃあ、おばちゃんまたねっ」
「はいよ、気をつけてー」
いつものビニールのレジ袋じゃなくて
いい紙でできている紙袋と
その右上にはリボンとシールを貼ってもらって
それをまたいつものレジ袋に入れてもらって
そのままの足で
Aの家に向かった
_
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葵
| 作成日時：2016年6月12日 11時
