夕立;02 ページ14
Aが胸のあたりを抑える仕草をしていることに気づいたのは2週間ほどまえである。
「どうした？A」
マルコが医務室で書類にペンを走らせている時にふと視線をAの方に向けるとAは顔をしかめている。手でぎゅっと胸のあたりを抑えていた。
「…ううん、何でもないよ」
「…………本当にか？」
聞き分けが良すぎてAは何でも大丈夫と言ってしまう節がある。
「………嘘はいけねぇよい、A」
「…ほんとに大丈夫っ、ちょっと痛いだけだし……！すぐになお」
言い切る前にマルコがAの前に椅子を持ってきて座る。
「ちょっと
マルコがそう言ってAのシャツのボタンを外す。
「痛てぇのはここかい？」
「うん」
『ちょうど心臓のあたりか』
診てはみたものの、これといって異常はなさそうだった。
『心拍も血圧なんかも普通だな、まァ若干貧血気味っちゃァそうだが』
「痛てぇのはどのぐらい前からだよい」
「………分かんない。ずっと……前から、多分」
「ずっと痛てぇってわけじゃねぇんだろい」
こくりとAが一つ頷く。ふとした瞬間に痛くなる。それも前触れもなく。痛みを感じても長くて1時間ほどで痛みは収まってしまう。
「でも、我慢出来ないわけじゃないから」
「……なるほどねぃ」
緊急性を要する訳ではなさそうだが、このまま酷くなるようなら話は別だ。
「っていうことがあったんだよい」
「なるほどね。…それで？原因はなんだか分かってんだろ？まさか、本当に心臓がわるいわけじゃねェよな？」
「……おそらくAは心臓神経症だよい」
―――心臓神経症。心臓に明らかに異常がないにもかかわらず痛みや息切れ、手足の痺れが出る病気。
「大抵はストレスなんかが原因なんだがまァAの場合は育った環境だろうよい」
常に虐待されていた環境ではストレスは並大抵ではない。Aの場合は精神的にはストレスに思っていなくとも肉体的には正直な反応が出てしまっているのである。
マルコはサッチと歩いてきた薬屋で店主にリストを渡す。
「とりあえず痛み止めと精神安定剤で症状は抑えられるよい。けど、うちの船に精神安定剤は置いてねぇし、何より痛み止めもそんなには常備してねぇからねぃ」
海賊として生きていれば多少の痛みは慣れてしまう。痛み止めなんかに頼らずとも済むのだ。
「俺たちは慣れててもAは違うだろい？」
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玉うさぎ(プロフ) - なまらさん» コメントありがとうございます！夢主の能力が使われるのはもう少し先になりそうです……(´TωT｀)気長に待っていただけると作者は嬉しいです (2021年11月22日 11時) (
レス) id: 2678198c2d (このIDを非表示/違反報告)
なまら - 更新されてるか見るのが毎日の楽しみです！！夢主ちゃんの能力使われるのが楽しみです！更新頑張ってください！！ (2021年11月21日 4時) (レス) id: 26945b0253 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玉うさぎ | 作成日時：2021年10月3日 12時
