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「はぁ... 」


ヒョンのからの連絡はぱったりと来なくなった。


やっぱり、あの人の心臓が悪くなってるなんて
俺を繋ぎ留めておくための嘘だったんだろう。



なのに、そう思ってるのに。


「っ... 」


携帯が震える度、画面を見るのを躊躇う。


いっそのこと壊してしまおうか。



ヌナの部屋に大事に飾られている写真。


こんなときに限って、ヌナによく似た優しい笑顔と目が合って、

とてつもない罪悪感が湧き起こるのに、次の瞬間にはヌナと一緒にいる事を許してくださいと請う。


この図々しさはやっぱり、あの人から受け継いだんだろうか。




もう一度、ヌナと居ることを何よりも望んできた。


他には何もいらないと。


なのに、こんなことで動揺して、いちいち揺らいでいる自分が心底情けなかった。



だから、こんなだからヌナに言わせてしまった。



" ジョングクは、辛そうに見えるよ。 "


そう言ったヌナの目は、何かを覚悟したようなそんな強い意志を持っていた。



ヌナには全部わかってた。


そうだとしたら...

また、俺から離れようとするんだろう。



『ジョングク。ヌナね、強くなりたいんだ。

逃げたり、守られてばかりじゃダメだから。』



それだけは、耐えられない。



自分のせいなのに、俺もあの人が家族にしてきたようにヌナに縋りつく。



ああ、 " 母さん "

今、わかった気がするよ。

今まで散々嫌ってきた、その感情が。




だから俺は、




" あなたを捨てるよ。"






「ヌナ。知ってた?
おばさんがあの街を出た理由。」


『え?おばさん... って、お母さんのこと?』


ヌナは俺の口からなんでおばさんのことが出てくるのか意味がわからないみたいだ。


ヌナだけが知らない。


「そう。
おばさんもね、ヌナと同じなんだ。」



だから、ほんとに


ヌナは何も気にしなくていいよ。




もうさ、あの街から


開放されようよ。






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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時

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