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「バカじゃないの?」

腹が立つ。


兄とかそんなもんどうでもいい。


「ヌナがどんな思いで戻って来たか...
わかってんでしょ?」


ずるいんだよ。

俺、こんな役回りばっか。


「俺だって怖かったよ。
ヌナはもう俺たち家族の顔なんて見たくもない
んじゃないかって。
だけどさ、やっぱりヌナはヌナだった。

俺とヒョンの間に溝ができたこと、
嫌って当たり前の母さんの身体のこと、
全部自分のせいだって責めてたんだ。

何も悪いわけないのに。
ひとりだよ?独り。女の子が。
めちゃくちゃ寂しいに決まってんじゃん。
なのに、大丈夫って言うんだ。

俺が母さんの心配するのは当たり前だとか、
ヒョンに会わないととか...

ここにいるのに...
何やってんだよっ! ヒョン!」

はやく... 早く行けよ。

嫌んなるよ。


そっくりなんだよ... ヌナと。




母さんを放って行けなかった。

自分の気持ちを必死に押し殺して、
俺に行かせた。

人のことばっか。

もう、自己犠牲とかやめなよ。

みんなズレてる。


母さんはもう知ってたんだろう。
そして俺も、もうわかった。

" 自分だけ " で周りなんてどうでもいい。

でも、そんなの虚しいだけで。


ヌナもヒョンも、
いい加減気づかなきゃ。

" 誰かのため " って何かを犠牲にする事。

相手がそれに気付かないはずも、それを知っていて幸せになれるはずもないんだから。


思い合ってるからこそ。



「ど、どこに... リラはどこにいるの?!」

「駅前のビジネスホテルだよっ!」


あーあ、
格好良くなんて俺にはできない。

こうやって怒りをぶつけるようにしか。



だから、

やっぱり俺はいつまで経っても

二人の (ガキ) のままなんだ。





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作者名:sayu_ | 作成日時:2021年10月12日 3時

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