ひとりじゃない証-No.2- 【金田一少年の事件簿】初代実写版 (ページ36)

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2話ページ36

あたしたちは今クルーザーに乗っている。
クルーザーの船首にはカッコつけている真壁君の姿があって、あたしは美雪と2人でそれを見ながら笑っていた。

しばらく活動を休んでいた不動高校ミステリー研究会のメンバーが久しぶりに集まりました。
と言っても今回は部員の少ない演劇部に頼まれて演劇コンクールに備えての合宿のお手伝いです。

あたしが船尾の方から悲鳴が上がったのに気付いて振り返ると、それを不思議に思った美雪も振り返った。
そして2人で目を見開く。
なんと船尾の方ではハワイアンシャツを着たはじめちゃんがサーフィンの真似事をしていたのだ。
しかも落ちるか落ちないかの瀬戸際で皆に「危ない」と言われているにも関わらずその真似をやめようとしない。

最も、役1名ちょー勘違いしてる奴もいるようですけど。

『はじめちゃん、危ないから戻りなさい!』

美雪「はじめちゃん!」

美雪と2人で慌ててはじめちゃんを止めにいく。
それから1、2時間後やっと島が見えて来た。
クルーザーから降りて水際とのギリギリの岩場を一列になって歩く。

美雪「さーちゃん、待ってよ!きゃあっ!」

『あぶなっ…!』

先を歩いていたあたしに追いつこうと少し小走りになった瞬間足を滑らす美雪の腕を間一髪で掴んで引き寄せる。
しっかりと美雪を抱きしめてあたしはギリギリまで来ている水を見下ろした。

『大丈夫？美雪』

美雪「う、うん…」

『言ってくれれば待つからゆっくり行こ』

美雪の手を引いて危ない所は手を引っ張って手助けをしてやる。
そうしながら歩いていると先に行っていたはじめちゃんが待っていてくれた。
はじめちゃんは率先してあたしの荷物を持ってくれている。
まぁ、美雪は強制的に持たせていたが。

一「大丈夫か？A、美雪」

『なんとかね』

美雪「あ!ねぇ、あそこじゃない？」

上を見上げた美雪が指差す先に見えた一つの洋館。
危険な岩場は終わったため、後は洋館までの道の登坂だ。
あたしと美雪ははじめちゃんから荷物を受け取ると3人で顔を見合わせて先へ急いだ。
丘を登って、綺麗な花のアーチの向こうに見えた【オペラ座館】という名前の洋館。

一「おおっ」

感動の声を洩らすはじめちゃんを横目にあたしは肩からずり落ちそうなボストンバッグを抱え直すと、美雪とはじめちゃんと一緒にそこを目指して歩き出した。