ひとりじゃない証-No.2- 【金田一少年の事件簿】初代実写版 (ページ29)

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21話ページ29

もう人間離れした凄さである。

あたしの蹴りをまともに受けた犯人が蹲ると、それを素早くいつきさんと甲田さんが両側からガッチリ抑え込む。

一「やっと会えたな、ジェイソン」

はじめちゃんのその声に犯人は動きを止めた。
それでももがく犯人の前に斧を持った九条さんが、脅すように斧を犯人に突きつける。

あたしはそれを見ながら犯人の目の前でニヤリと不敵に微笑んだ。

『驚いたでしょ。あんたが殺人に使ったカラクリを利用させてもらったよ』

押さえ込まれて身動きがとれない犯人が仮面の奥からあたしを睨んだ。

一「俺は犯人が建物の中の様子をどうやって知ったか考えた。小林さんが殺された時、部屋の窓にはカーテンがかかっていたし、動きの一部始終を把握するのには難しかった」

はじめちゃんはこっちに歩きながら話す。

一「そこで俺は発想を変えてみたんだ。犯人は見ていたんじゃなく、聞いてたんじゃないかってね」

はじめちゃんは少し離れた場所に止まると、盗聴器を取り出して地面に投げ捨てた。
それを驚いたように見る犯人。

『嘘のケンカの会話をしたあと、いつきさんは一人で部屋に戻り、その後全員がこっそり盗聴器ごとこの部屋に移動する。あんたはてっきりあたしたちがメインロッジにいていつきさん一人だけが部屋に戻ったと思った』

一「案の定、全員が待ち構えているとも知らず、あんたはいつきさんを殺しに来た。俺たちが仕掛けたネズミ捕りの中へね!」

聖子「じゃあやっぱり、この人が主人たちを殺したのね」

聖子さんがはじめちゃんの背後に来る。
あたしは彼女の言葉に『ええ、そうよ』と頷いた。

『あたしたちがここを訪れた最初の日の夜、あんたはロッジの外に出てきた香山さんを殺し、その死体をロッジに運び込むと、食料棚の中に詰め込んだ。その死体を発見した時、あたしたちは2つの疑問を持った。第一に…もしジェイソンが犯人だとしたらなぜ20キロも歩いてきたのに食料に手が付けられていなかったのか。そしてもう1つの疑問は、どうしてロッジがめちゃくちゃに壊されていたのか』

あたしは腕を組んで犯人を睨みつけた。

『食堂がめちゃくちゃに壊されていた本当の理由は、あるものが壊されていることをカモフラージュするためだったんだ!』

いつき「あるもの？」

聖子「何なのよ、それ」

『ラジカセだよ』

聖子「ラジカセ？」

不思議そうに声をあげる聖子さんにはじめちゃんが「ああ」と頷いた。