33話 ページ33
和葉「……まだ……まだいけます!!」
汗だくになった和葉は、息一つ乱さず涼し気な顔をする静華を見上げた。
静華「休憩も立派な練習や。私は御粥さんでも、いただいてきますさかい」
静華はスッと立ち上がると、羽織を和葉にかけてやった。
蘭「……和葉ちゃん!」
目を覚ました蘭は、畳に手をついてうなだれている和葉に駆け寄った。
力尽きて前に倒れていく和葉を慌てて支える。
蘭「大丈夫!?」
静華「寝かせてあげなはれ。一睡もせんとよぉ頑張ったわ」
蘭「和葉ちゃん、どうなんですか?」
蘭は襖をあけて出ていこうとする静華にたずねた。
静華「思った以上の実力や。ベスト4は堅いやろけど、決勝まで進むんは正直難しいやろな」
蘭「そんな……」
静華「人の話は最後まで聞きなはれ」
静華はチラリと蘭を振り返って微笑んだ。
静華「難しい言うだけで、無理とは言うてません。競技かるたで大切なんは、精神力と集中力や。この子にはそれがある。心乱さず無心で挑めば、この子にも勝機はあるで」
静華が部屋から出て行くと、蘭は布団を敷いて和葉を寝かせた。
その枕元に座り、目の下にクマができた和葉の寝顔を心配そうに見つめる。
ー心乱さず無心で挑めば、この子にも勝機はあるでー
静華の言葉を思い返しながら、蘭はポケットからも紅葉のパスケースを取り出した。
(こんなの見せたら、和葉ちゃん、心乱れちゃうよね……)
高校生皐月杯争奪戦の抽選会場になっている大広間には、選手やその父母たちが続々と集まっていた。
蘭たちもそこに入ろうとして、小五郎がトイレに向かったその頃。
コナンと愛梨と平次は関根の控え室をたずねていた。
平次「せなやから、話がある言うてるやろ!」
関根「西の名探偵か何か知らんが、ガキの話を聞く時間はない言うとんのや」
平次「そう言わんと」
関根「あと10分で抽選会が始まるんやで」
ドアを開けて立っている平次がねばるが、関根はまるで取り合おうとしない。
(マズイな……)
このままではらちが明かない───コナンと愛梨が焦っていると、小五郎が眠そうにあくびをしながら廊下を歩いているのが見えた。
愛梨,コナン「おじさん!」
二人は急いで小五郎に駆け寄った。
小五郎「あ、ボウズ、愛梨。お前ら、トイレじゃなかったのか?」
コナン「そんなことより、関根さんが名探偵のおじさんに、今回の事件で話したいことがあるんだって!」
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マロン - 立て続けのコメント失礼します!から紅の恋歌のあとは紅の修学旅行書いて欲しいんですけどいいですか?二回目ですけど応援してます!頑張ってください!! (2019年9月21日 20時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます!(泣) (2019年9月8日 2時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 夜にすみませんいつも楽しんで読ませてもらってます!瞳の中の暗殺者の「大切だからだよ!」ってセリフのところ、夢主ちゃん(愛梨ちゃん)かっこよすぎじゃん、えマジでかっけーってなって家族に変な目で見られましたρ(тωт`) イジイジこれからも応援してます! (2019年9月7日 21時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 夢小説なので。ここでは夢主ちゃんが主人公なので新一くんの言葉をとるときはあります (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 新一くんは夢主ちゃんと付き合っているんですよ。蘭は新一より夢主の方が好きという設定です。一応設定に書いてありますけど (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年9月2日 17時