32話 ページ32
愛梨「頼もしい助っ人が来てくれたよ」
次の間を振り返ると、着物を着た女性がしっとりと歩いてきた。
先ほど大広間の前で阿知波が挨拶していた女性だ。
歩美「え?」
元太「誰だ?」
子供たちと蘭がきょとんとする中、和葉はまさかと目をパチパチさせた。
和葉「へっ、平次んとこのおばちゃん……?」
「平次から聞きましてな。駆けつけましたんや」
平次の母───服部静華は、小五郎に気付き、上品にお辞儀をした。
その美しい出で立ちに見とれた小五郎が、ペコリと会釈する。
和葉「え?何で?」
和葉はなぜ平次が静華をよこしたのか、その理由がさっぱりわからなかった
静華「和葉ちゃんの手伝いや。かるたの特訓するんやろ?」
和葉「そら、そうやけど……」
静華は部屋の奥に進むと、蘭が座っていたところに腰を落とし、静かに膝をついて正座した。
静華「私が相手になりましょ。元クイーンの私では、力不足かもしれまへんけど」
蘭「元クイーン!?」
蘭が驚いて声を上げた。
静華「他ならぬ平次の頼みや。私の持っている全てを、あなたに教えてあげますわ。ただ時間が足らんさかい、稽古はきついもんになりまっせ。それでもよろしいか?」
静華の厳しい表情と言葉に、和葉はゴクリと唾を飲んだ。
何事も徹底して極める静華のことだから、稽古は想像以上にきついだろう。
けれど、生半可な練習では、紅葉には勝てない───……!
意を決した和葉は、背筋をピンと伸ばして姿勢を正した。
和葉「はい。よろしくお願いします!」
夜が明けて、東の空が明るくなり始めた頃。
バシッ。バシッ。
百人一首を読み上げる声と共に、手を叩きつける音が聞こえてきて、コナンは目を覚ました。
隣には壁にもたれて仲良く一緒に寝ている愛梨と蘭がいた。
子供たちや小五郎は隣の部屋に敷いた布団で寝ている。
コナン「いけね」
コナンは慌ててそばに置いたメガネを取り、追跡機能を起動させた。
左レンズのレーダーの中心には、阿知波の現在位置を示す赤い点が点滅している。
コナン「どうやらホテルからは出ていないようだな……」
部屋の奥では、静華と和葉が夜通しでかるたの稽古をしていた。
障子には飛んできたかるたが破った穴が幾つもできていて───スバンッ。穴がまた一つ増えた。
静華「なかなかの頑張りや」
背筋をピンと伸ばして正座した静華は、手をついて肩で息をする和葉を見た。
静華「正直、ここまでやれるとは思てませんでした。この辺で、ちょっと休みましょか」
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マロン - 立て続けのコメント失礼します!から紅の恋歌のあとは紅の修学旅行書いて欲しいんですけどいいですか?二回目ですけど応援してます!頑張ってください!! (2019年9月21日 20時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - マロンさん» ありがとうございます!(泣) (2019年9月8日 2時) (レス) id: f5cfe9f7a0 (このIDを非表示/違反報告)
マロン - 夜にすみませんいつも楽しんで読ませてもらってます!瞳の中の暗殺者の「大切だからだよ!」ってセリフのところ、夢主ちゃん(愛梨ちゃん)かっこよすぎじゃん、えマジでかっけーってなって家族に変な目で見られましたρ(тωт`) イジイジこれからも応援してます! (2019年9月7日 21時) (レス) id: 81eb5f8e4a (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 夢小説なので。ここでは夢主ちゃんが主人公なので新一くんの言葉をとるときはあります (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
さきっち(プロフ) - 愁さん» 新一くんは夢主ちゃんと付き合っているんですよ。蘭は新一より夢主の方が好きという設定です。一応設定に書いてありますけど (2019年2月7日 20時) (レス) id: 8c299fa2e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年9月2日 17時