第7話 ページ9
5日後、緋龍城では16になる私達の誕生祝いの宴が行われた。
「うっうっう。16かっ。Aもヨナも立派になったなぁ」
涙を流しながら自身の娘の成長に涙を流すイル。
「おめでとうございます、姫様方」
「おめでとうございます」
『ありがとう』
Aが城の者に返事を返す中、ヨナはと言うと。
「父上、姉様。やっぱり髪がハネるのよ。今日は結い上げたかったのに、ヒドイわ」
「駄目だ、この娘。髪の事しか頭にない」
「Aのようにみんなにあいさつしなさい」と脱力しながらそう言うイルにAが苦笑していると、離れたところでスウォンが此方に手を振っているのが見えて、駆け寄った。
『どうしたの?スウォン』
「手を出して下さい」
手?と首を傾げながら差し出すと、その手には綺麗な花の飾りの簪が乗せられた。
『簪…』
「すみません、こんな所で。Aに似合うと思って手渡したかったんです」
『ありがとう、スウォン。けど私に簪なんて似合わないわ』
「えっ」
Aがそう言ってスウォンに簪を返そうとすると、スウォンがAの髪をひと房とった。
「私は似合うと思いますよ、Aの髪に。キレイな桃色…綺麗な花の色です」
―――なんて、単純。一瞬にして自分の髪が好きになるなんて―――
簪を口許に当てながら微笑むAにスウォンが愛おしそうに目を細める。
その場にいい雰囲気が流れる…が、2人の間にハクが現れた。
「……」
『ハク!?』
驚いて思わず身を引くAとスウォン。
ハクの後ろには頭を抱えたカナがいた。
「陛下が探してましたよ、姫様」
『え!?も〜あの酔っ払いは。カナ、父上は?』
「先程、ヨナ姫様と共に向こうに行かれましたよ」
『ありがとう!』
Aが急いでイルの元へ向かうのを見送ったハクとカナの視線がスウォンへと向けられた。
「…ま、こんな事だろうと思ってました」
「えっ」
「スウォン様なら陛下を説得できるでしょう。頑張って下さい」
「誤解だよ、2人とも。それに」
ハクとカナに苦笑しながらそう言うスウォン。
そして意地悪く笑うと。
「敬語やめない?昔みたいにスウォンって呼んでよ」
そういうスウォンに2人は目を合わせてニヤリと笑った。
「「身分はわきまえてますから」」
イルの元へ向かったAが自分の去った後にそんな会話がされているとは思いもせず、ヨナと一緒に酔っ払いのイルの相手をしていた。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時