第38話 ページ40
貴女side
『はぁっはあっ』
息を切らせながら私はただひたすらにハクを探し続けた。
カナもいつの間にかいないし、ヨナも何か考えることがあるのか一人で何処かに行ってしまった。
ハク、どこに行ったの？
ムンドクも…カナも…ヨナも。
テヨン!
見つけた先には座り込むテヨンの姿。
そしてその頭を撫でる手。
その手が離れるとテヨンは寂しそうに見つめて目尻に涙を溜めた。
「リサ…」
『今の…ハク？』
私がそう問いかけると、テヨンは視線をそらしながら「…うん」と頷いた。
「リサはどうしたの？」
『お礼を…言いに来たの』
「お礼？」
そう言って首を傾げたテヨンにニコリと微笑みかけて、私は床に膝と手をつき頭を下げた。
『あったかいごはんをくれて、涙をぬぐってくれて、元気をくれて、ありがとう。
お世話になりました』
「…行くのか？
リサとリナはずっとここに居るんだと思ってた。なぁんだ……
なぁんだ……」
顔を隠すように被っていた帽子を下げて泣くテヨン。
死にたいと思った夜もあったけど
この小さな体で苦しさなんか微塵も感じさせない笑顔と強さが
私に
勇気をくれたの
テヨンをぎゅっと抱きしめて私は、彼の手を握った。
『私、忘れない。テヨンとここの人達を』
テヨンと額を合わせる。
『体を大切に。
元気で』
そう言ってテヨンの元を去った私を見送ったテヨンの言葉は、私の耳には入らなかった。
「…ごめんなさい、ハク兄ちゃん。
リサを守るって約束したばかりなのに、守れそうにないや」
・
・
「さてと、行きますか」
門を一度見上げたハクは、荷物を持って歩き出した。
「テウ、今日はまともに門番してるみたいだな」
「背中、預けるヤツがいないと眠れねーんで」
「ねるな」
「それにカナに脅されたし」
そう言ったテウは門に寄りかかり腕を組みながらハクに問い掛けた。
「ハク様はどちらへ？」
「俺、ここ出るわ」
「へー…いってらっさい。
…マジで？」
「つーわけで、次期、風の部族長はお前な」
そう言った瞬間、テウは声を上げた。
「やだよ、めんどくさい!…の前に色々あるけど、リサさん達置いてくの!?」
「最後くらい顔、見ようとかと思ったけどな。
あいつらもまとめて頼むわ」
「カナはともかく、ワケありのお姫様なんて荷が重いっすよ」
「お前、気付いて…」
そう言ってハクがテウを見るが、すでに寝ていた。
いや、振りか。
『ハクーーーー』
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました！面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい！ (2018年7月21日 23時) (
レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました！更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さきっち
| 作成日時：2018年7月6日 17時
