第29話 ページ31
「そんな…愛人とか恋人とかは無理にしても」
「たぶん友達って、視界にも入ってねーっス。
あわれハク様。超片思い…」
ぐしゃ・・・
「目ん玉ほじくったろか」
「アホか…」
ヘンデの背中に大刀を押し付けるハクの隣でカナが呆れたように目を細めながら呟いた。
ハクがAの方に視線を向ける。
「…誰が友達だ」
『え…じゃあ従者…』
するとガッとAの口をハクが手で押さえた。
「あんたの名は「リサ」。そして姫さんの名は「リナ」。城の見習い女官という事になっている。俺とカナもここでは女官として扱う、いいな?」
横にいるヨナにチラリと視線を向けながらAはコクッと頷いた。
「よし…いい子だ……」
と言いながらハクが後ろを振り返るとテウがテヨンの目を押さえていて、ヘンデが見ちゃいけないものを見たという風に手の隙間からこちらを見ていた。
「テヨンが見てマズイ事はなんもしてねーだろーがっ」
そう言いながらドカドカとテウを踏みつける。
「だって、何かやらしいよ、ハクさまー」というテウの言葉にヨナとカナが苦笑していると、テヨンがAとヨナに話しかけた。
「リサ、リナ。兄ちゃんは城ではどんな人なの?俺が3歳の時に兄ちゃんは将軍になってお姫様を守ってたから、俺、兄ちゃんの事あんまり知らねんだ」
『……城でのハク……は……』
口元に手を添えながら考え込むAとヨナ。
頭に浮かんだのはハクに言われた言葉の数々。
ーーー《
ーーー《姫様の重みで間もなくハクは絶命〜〜》ーーー
ーーー《姫様、弓の腕落ちてるんじゃありません?》ーーー
ーーー《姫様、大丈夫ですか?腕の力が落ちすぎて弓すらひけませんか?》ーーー
「無礼者…」
『あ、イヤ 無神経…』
「あ、えと 態度でかい…」
『あ、ううん。可愛くない……』
『「あ……」』
「よーしわかった、もういい」
手を出して止めたハクの後ろでテウとヘンデとカナは床を叩きながら大爆笑していた。
カナに至っては涙まで出てきている。
「リナさん、リサさん、最高〜〜〜っ」
「かっかっかっ可愛くないときた!」
「そりゃ可愛くないわね!」
「楽しそうだな、ヘンデ、カナ。こっち来いや」
キャーーと騒ぐ皆を見ていたA。
―――皆、笑顔で、賑やか…
これがハクの育った場所―――
小さく微笑んだA。
それを見ていたヨナとカナとハクは顔を見合わせて小さく笑い合った。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時