第24話 ページ26
―――共に過ごした日々も
大事にしていた姫さんたちも
全てを壊して
お前はそれで満足なのか?
スウォン―――
険しい顔をしたハクの足に何かがカランと当たった。
その音に気付いたハクとカナが歩みを止めて振り向く。
―――これは…―――
「それ、宴の時にスウォンが姫さんに渡してたやつじゃない…?」
小さく呟いたカナ。
―――まだ、こんな物を持って…―――
ハクがぐ…と簪を握りしめると睨みつけるように地面を見てそれを懐にしまった。
カナはそれに何か言いたそうにしていたが何も言うことはなく、憎悪を募らせた目で空中を睨みつけてハクと共に荷物を取りに戻るとAとヨナの場所へと戻った。
着替えを済ませていた2人の後ろ姿に声をかける。
「A姫、ヨナ姫」
「先を急ぎましょう。日が沈む前に距離を稼がなくては」
ハクの言葉に頷いた2人の手を引いて歩き出す。
・
・
「今日はここで休みましょう」
暗くなった空。
Aとヨナは岩壁を上る虫たちを見つめた。
「ここの虫は害がないから大丈夫ですよ。蛭はさっきの池に落としましたし…」
カナのその言葉を聞いてヨナが安心したように息をつく隣でAは胸元に手を当てる。
するとあるはずの物がなく、Aは驚いたように目を見開くとバッと他の所を探った。
だが目当ての物は何処にもなく呆然と立ち尽くすAにその行動を見ていたハクが声をかける。
「どうしました?何か、落とし物でも…?」
そう言ったハクを振り返ったAは思いつめたように一度目を伏せると、首元を触ってハクに貰った首飾りが付いている事を確認するとすぐにぶんぶんと首を横に振った。
―――いらない。
あんなもの
絶対にいらない―――
ーーー《A。私は似合うと思いますよ、Aの髪に。綺麗な花の色です》ーーー
ハッと目を見開いたAは辺りを見回した。
隣でカナから木の実をもらっているヨナをチラリと見てザワザワと揺れる木々につられるように立ち上がる。
するとその手をハクに取られた。
「どこへ?」
『あ…あの…私、ちょっと…』
「姉様…?」
不思議そうに首を傾げるヨナ。
カナは何処か必死な目でハクを見つめるAを見て、何かを感じ取ったように枝を焚火に入れながら口を開いた。
「察してあげなさいよ」
「…早く帰って来て下さいよ」
カナに言われてぱっと手を離すハクに頷くとAは森の中を駆けて行った。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時