第17話 ページ19
ハクが緋龍城の壁で休んでいると、ハクの後ろの廊下を通る城の者たちが五部族の会議のことについて話し始めた。
「部族会議での陛下のご様子はどうだ?」
「ああ、また部族長達のいいなりになっているらしい」
「火の部族は隣国から武器を買い占めているらしいぞ。王の許可もなく」
「このままでは部族達の力が増し、国王の力が衰える一方だ」
「あのような臆病な王にこの国を任せて良いのか?」
―――言われてる言われてる。無理もないか、あの王じゃな―――
いいおっちゃんなんだけどなとハクは空を見上げた。
―――俺がじっちゃんの後を継いで将軍になったら、俺は王家の犬…か―――
ふとハクはイルが言った言葉を思い出す。
ーーー《ハク。Aの護衛として、ずっと城にいてくれないかい?》ーーー
「やめといた方がいいですよ、陛下。俺は…」
『嫌です!』
―――A姫―――
声の聞こえた方へ視線を向けるとそこにはカン・テジュンと向き合っているAの姿があった。
『私は貴方と離宮には行きませんっ』
(また、カン・テジュンに言い寄られてるのか)
おー顔、真っ赤にしてがんばってんな、とハクが心の中で思っていると、テジュンが笑みを浮かべながら口を開いた。
「つれない事おっしゃらずに。離宮には素晴らしい花の庭園があるとか。案内してくださらぬか?」
ぐいっと強引にAの手首を引っ張る。
『放……っしてっ』
(うぜェ。スウォンかカナがいればな…)
そこまで考えてハクは首を横に振った。
―――いや、カナはまずい。あいつが来たらあの男は間違いなく殺される―――
ニコリと笑みを浮かべながら黒いオーラ全開のカナを思い浮かべてハクは冷や汗を流しながらその場に腰を下ろした。
今だに離宮へ連れていこうとするテジュンからAは必死に逃れようとしている。
「おい……姫様、嫌がってないか?」
「誰かお止めしろ」
「しかし、カン将軍のご子息だぞ。下手なことして将軍に睨まれたら」
「では陛下をお呼びしろ」
―――貴族様とはまこと面倒な生き物だ。
関わるな。
放っておけ。
でないと俺は、これからずっと―――
ーーー《昼間はごめんなさい》
《仲直りの賄賂ね》ーーー
306人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時