第10話 ページ12
―――私達は、憎まれていたの…?幼い頃からずっとずっと。多くを望んだわけじゃない。スウォン達の笑顔を見られれば、それで良かったのに―――
衛兵の一人がA達に剣を振り下ろそうと構えた。
その瞬間。
ゴォッ
周りにいた衛兵たちが一気に吹き飛んだ。
Aとヨナが見上げる先にいたのはハクとカナだった。
「…今夜はスウォン様がいらっしゃるから、邪魔者は遠慮したつもりだったんですがね」
「見張りだったはずの守備隊がここに勢ぞろいしてるし、見知らぬ輩もいますし」
「これは一体、どういう事ですか?」
「「なあ、スウォン様」」
Aはヨナを抱きしめたまま2人を見上げて口を開いた。
『ハ…ハク…カナ…』
するとハクとカナはA達を振り返って膝をついた。
「「お傍を離れて申し訳ありません。A姫様、ヨナ姫様」」
『ハク…カナ…』
ハクとカナを見たら安心して涙が込み上げてきたが、ヨナがいるんだからしっかりしろと自分を奮い立たせて口を開いた。
幾ら自分を奮い立たせても震える声までは抑え切れない。
『ハクと…カナは…私達の、味方…?』
ピクリと腕の中のヨナが小さく反応した。
Aの言葉に目を見張った2人だが、立ち上がりながらヒュッと大刀と槍を一振りすると。
「―――……俺は陛下からあんたたちを守れと言われている」
「何があってもあたし達は」
「「それに絶対服従する」」
自分達を庇うように前に立つ2人の姿にAは、
(2人が味方でよかった…)
とヨナを抱きしめる力を強くした。
「控えよ下郎。今より緋龍城の主となった、スウォン陛下の御前なるぞ」
その言葉を聞いて2人の顔が険しくなった。
「「…誰が、何の主だって?」」
「どうも…嫌な予感がするんですがね、スウォン様」
「イル陛下はどこにおられる?」
ハク、カナがそう言うと、ザアッと不気味な風が辺りに吹いた。
「―――私が先程、地獄へ送ってさしあげた」
ドカ
ハクが大刀を打ち付けた。
「―――酒にでも酔っておいでか?戯れ言にしては度が過ぎますよ」
「…A姫とヨナ姫に聞いてみるといい。その目で王の死を確かめられたのだから」
『!』
ヨナの体が強張り、頬を伝う涙がAの服に零れ落ちた。
瞬間、ハクとカナが大刀と槍をスウォンに向かって振るう。
ガッ
「真実を言え…!」
「偽りじゃない」
「スウォン!!」
3人の武器が交差する音が辺りに響き渡る。
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ムーミン一家 - 暁のヨナ、私も最近ファンになりました!面白いですよね〜ちなみに私はジェハ押しです。これからも頑張って下さい! (2018年7月21日 23時) (レス) id: 8c840e0186 (このIDを非表示/違反報告)
鈴木美妃(プロフ) - ファンになりました。早く続きが読みたいです。これからも更新楽しみにしてます。頑張って下さい。応援します。 (2018年7月7日 19時) (レス) id: 6d5e66c80d (このIDを非表示/違反報告)
ルイナ(プロフ) - 待ってました!更新これからも頑張ってください♪ (2018年7月6日 18時) (レス) id: 29bcf3ece3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さきっち | 作成日時:2018年7月6日 17時