秘書ってペットじゃないの、知ってます？【夏油傑】

3・社長とご対面 ページ3

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秘書室異動まで２週間ある、いや２週間しかない。私は勤務に明け暮れた。同僚や先輩には羨ましがられたが、社長秘書の家入さんの鶴の一声と言うと誰からも何も言われなくなった。ねえ硝子、なにした？


そして怒涛の２週間を終え、週末。最終日の午後は秘書室へ挨拶へ行くことになっていた。少ない荷物をまとめ、一度も使った事のない役員専用エレベーターへ。ボタンを押す手が震えているぞ私。パワハラ上司の元へ行くんだ、無理もない、と自分で自分を落ち着かせ、落胆。


受付、大変だけど楽しかったなぁ。役員の人達はどーせ俺様な人達なんだろうなぁ(偏見)。パワハラは‥嫌だな流石に。なめられないようにしなきゃ。落ちかけた気分を無理やり上げる。ついでに口角もあげる。


エレベーター内の空気をスゥゥと吸い込む。なんかいい匂いするな、どこかで嗅いだことあるような‥ないような‥わからん。ポーンと到着を知らせる機械音。


遂に来てしまった執務室エリア。エレベーターのドアが開くと目の前に硝子が居てくれた。『そろそろだと思って待ってた』と微笑む顔は落ちかけてたメンタルに優しく染み渡る。


専務は今外出しているらしく、副社長は来週末まで海外出張。ひとまず社長室に挨拶に伺った。硝子に案内され静かな廊下を進む。失礼します、新しく専務付きの秘書になる者を連れて参りました、と仕事モードの硝子にドキリとしながら後ろをついて入室する。


「はじめまして。青山Aです。誠心誠意頑張ります、よろしくお願いいたします」と深々と頭を下げた。『ああ、傑の事よろしく頼む』とダンディすぎるお声をいただいた。やっぱりいかつい。なぜに部屋でサングラス‥スーツにサングラス、アウトローな世界を感じますよ。


失礼しました、と社長室を後にする。は〜緊張した。専務って、傑って名前なんだね。そういえば聞いてなかった。


秘書室に戻ると先ほど専務が出先から戻って来られたと聞いた。硝子はこれから社長と外出だから一人で挨拶に行くことにした。


どんな人だろう、社長があんなだから(失礼)、こちらも相当な強面なのかしら。怖いよう。でもどんなに足掻いても週明けからはその人の秘書として働かなくてはいけないんだ！と腹をくくり、廊下を進んだ。


廊下の突き当たり、重厚な雰囲気が漂うドアの前で一度深呼吸。よし、行くか、女は度胸と愛嬌だっつってたもんね、高校の時の担任が！と自らを奮い立たせ、静かにノックをした。




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