19・お誘い ページ19
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(え?誰だっけ誰だっけ‥)
その間約2秒。私は脳内にあるメモリーをフル稼働させ記憶を辿った
『○△商事の、』
そこまで言われて唐突に思い出す
「っ!赤木さんっ!」
『はい、いつもお世話になってます!』
そう言った彼と私は面識があった。うちの会社の取引先の赤木さんは私が受付係時代、よく顔を合わせてはお話をしていた。人懐っこくて受付仲間の間でも人気の彼だった。
『最近受付にいないし、聞けば秘書課に異動したって聞いたから俺寂しかったんですよー』
と隣に立つ彼もまた距離が近い。部長に連れられて来たと話す彼は静かに夏油さんに視線を送った
赤木『まさか“仲良かった青山さん”が夏油さんの秘書になってただなんて、驚きだなぁ』
夏油『こちらこそ、“ウチの青山”と顔見知りだったなんて驚きですよ』
バチバチと見えない火花を散らす男二人に気付くはずもないAは、ほんと世間は狭いですね〜なんて呑気に笑っていた。
そこへ遅れてやってきた赤木さんの上司が夏油さんと話を始めると
赤木『夏油さん。少し青山さんをお借りしてもいいですか?最近会ってないからゆっくりお話がしたくて、』
その言葉に夏油の眉間に僅かに皺が寄った
夏油『え?あぁ‥そうですか。久しぶりなら積もる話もありますよね。後で迎えに行くよ、行っておいで、“A”』
そう言った夏油さんは顔は笑っているのに目の奥が笑ってなかった。赤木さんとはあまり良い関係ではないのかな?なんて思案しながらはい、と返事をした。
よし、じゃあ行こうか、と赤木さんは私の肩に手を置きグイっと引き寄せた。突然のことによろけた私は赤木さんの胸に倒れかかりそうになり、彼の手が私の腰を支えた。
(っわ!)
『おっとごめん、大丈夫?』
そう言って覗き込んでくる顔の近さにすぐに体を離し体勢を整える。もう一度肩を抱かれ赤木さんは振り返った
赤木『では、失礼します』
夏油『‥‥えぇ、』
◇◇◇
『青山さん、お酒飲めますよね?』
「あ、はい。少しなら」
ウエイターから小さなグラスに入ったお酒を受け取り、二人でテラスへ出た。賑やかなパーティ会場から漏れ出る光が真っ直ぐ伸びる広いテラスは薄暗闇の中でもちらほら人がいた。
少しの緊張感の中、先客から間隔を空けるように私達もそこまで歩き、向き合った。
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すみっことかげ(プロフ) - 歯磨き子さん» コメントありがとうございます!嬉しいです☆お、ここにも夏油さん推しがいらっしゃいましたか!!かっこいいですよねぇ本当! (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き子 - キュンキュンしすぎて・・・ありがとうございます。夏油推しには最高です、夏油様どこにいるんでしょうか() (2021年10月1日 16時) (レス) @page48 id: 0d41b786f3 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - こんぶさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんばりに驚いてもらえましたかね?面白いと言ってくださり嬉しいです!何故こんなおかしな事になってるのか、次話で明らかになるのでお楽しみに!! (2021年9月26日 7時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
こんぶ - NYの新事実に目玉が飛び出る所でしたw私もニューヨークだと思っていたので。本当に面白いです(*^^*) (2021年9月26日 3時) (レス) @page44 id: 7f18273dc2 (このIDを非表示/違反報告)
すみっことかげ(プロフ) - しゅーくりーむさん» コメントありがとうございます!わあ!そう言っていただけて嬉しすぎます!夏油さんかっこいいですよね、やばいですよね。理想を崩さないように頑張って書きますね!! (2021年9月23日 8時) (レス) id: 836ec41816 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみっことかげ | 作成日時:2021年8月12日 16時