【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ46)

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191話ページ46

「回転は十分、息も合っている…。一体…何が足りないんだ…!!」

「ムゲン･ザ･ハンド…。どういう技なんだ…!?」

必殺技のためになるべく鬼道たちにボールを回し、立向居に受けさせていたもののどちらも行き詰まっていた。そして少しのヒントも得られないまま前半が終わる。

鬼道はタオルとドリンクを受け取らずに浮かない顔で佐久間の隣に座る。鬼道は今日帝国学園に来て、いや、ずっと迷っていた。自分の選択が正しかったのかを。

最初は円堂のサッカーに惚れ、そして世宇子を倒すために雷門に転校した鬼道。倒したら帝国学園に戻るつもりだった。だが、優勝した直後にエイリア学園が攻めてきて帝国学園に戻る暇も、連絡を入れる暇もなく旅に出た。あいつらならきっと分かってくれるだろうという、ある意味一方的な期待を押し付けて。

「勝利にこそ価値がある…!俺たちは勝つ…どんな犠牲を払ってでもな!!」

「分からないだろうな鬼道…。俺はずっと羨ましかった…。力を持っているお前は先へ進んでいく…俺はどんなに努力しても追いつけない…同じフィールドを走っているのに、俺にはお前の世界が見えないんだ…!」

それが駄目だったということに気付いたのは、真･帝国学園での出来事があってからだった。自分は長い付き合いであった仲間たちを見捨てたのではないかと、裏切ったのではないかと、そう思うようになった。だからジェネシスと戦う前に、これだけは決着をつけておきたかったのだ。鬼道は談笑する帝国イレブンを見つめる。

「鬼道、久しぶりに帝国の鬼道が見れて嬉しかった」

「佐久間…」

ずっとフィールドを見つめていた佐久間が鬼道の方に顔を向け言った。そして「でも、雷門にいる方がお前は自分を出せているのかもしれない」と続ける。

「グラウンドの外からの方が、よく分かるんだ」

佐久間が雷門イレブンを見るので、鬼道もそれに倣いそちらに顔を向けた。

「こいつらは、常にお前を刺激してくれる。帝国にいたときよりもプレーにお前らしさが出ている。だからもう俺も源田も、そして帝国の皆も、お前に裏切られたとは思っていない」

自分の心の中を見透かしたように言う佐久間。はっとして見ると佐久間も帝国イレブンも穏やかに笑っていて、鬼道の表情も和らいだ。

「……ありがとう」

許された気がした。自分は雷門でサッカーをしていいのだと。これで、心置きなくジェネシスと戦える。