【イナズマイレブン】紺碧のイノセンス IV (ページ12)

今日:1 hit、昨日:29 hit、合計:323,158 hit

157話ページ12

「地球では、獅子は兎を全力で倒すという。私も、どんなに弱っていたとしてもお前たちを全力で倒す!!」

『個体によると思うけどな…』と思いながらも口には出さなかった水城。結局もうこの試合は出られない。ついさっき瞳子に通告されたのだ。自分は見ていることしかできない、信じることしかできない。自分の足に目を落として表情を歪める。「こい!!」と円堂が構えたその直後、デザームがグングニルを打ち込んだ。

「ライオンはライオンでも、まだ子どもを見ているようとでもいうか…」

「腰を入れろ、腰を!!」

後半開始前に立向居に言われた言葉、そして海での綱海との特訓を思い出す。究極奥義は未完成、ライオン、子ども…。

かちり。その瞬間、円堂は脳内でパズルのピースが当てはまったかのような感覚を覚える。理解した、正義の鉄拳が破られた理由を。ノートに書かれていた、究極奥義は未完成という言葉の意味を。

「正義の、鉄拳!!」

完成しないということではない。ライオンの子どもが大きくなるように、常に進化し続けるということだ。立向居は、今度こそ雷に打たれたような衝撃を受けた。「何!?パワーアップしただと!?」グングニルが弾かれたことにデザームが目を丸くして叫んだ。

「どうだ…これが常に進化し続ける究極奥義、正義の鉄拳だ!!」

「楽しませてくれるな…だが技が進化しようと、我らから点を取らない限りお前たちの勝利ではない…!」

円堂とデザームが睨み合っていたそのとき、弾かれフィールドの外に出たボールが誰かの足に止められた。フィールドどころか、会場中の人間の視線がそこに集まる。しかしそんなことを気にした様子もなく、彼はボールはそこに置いてフィールドに入ってきた。

『…!』

「あれは…!」

しばらく進むと立ち止まって、ポケットから手を出すとフードに手をかけた。焦らすようにゆっくりと外し、ついに顔が露になる。円堂がずっと切望していた、信じていた、待ち焦がれていた、彼だった。

「豪炎寺…!!」

円堂の脳内を豪炎寺との思い出が駆け巡る。一つも欠けてはいけない、大切な思い出。

「待たせたな!」

「っいつもお前は、遅いんだよ!」

雷門のエースストライカー、帰還。