おかん、あんな？

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最終的に亡くなった原因は、

やはり、心不全だった、と聞きました。





耳も聞こえない、目も見えない。





そんな暗闇の中で、思い出も人も忘れていってしまって。





ものが食べられなくなる。

息ができなくなる。





最終には、心臓も異常をきたしてしまうなんて。





本当に怖かっただろうな。

苦しかっただろうな。





病気でない、私が想像するだけでも、

こんなに心が締め付けられるのに、





飛鳥さんは、どれだけ辛かったのだろうと思うと、





また、心が締め付けられました。









「…ん？ なぁに？」









添えていた私の手を、トントンと叩いて、

おかん、って呼んでくれる、大毅。





その手を握ってウザがられるぐらい近づいてやると、

ないわ〜、って顔をして、そして、





こう言ったんです。









…ごめんな？









「…なんで？ なんで、謝るん？」









なんで聞き返したんでしょうね。





反射的だったんだと思います。





返ってくる答えはわかってたのに。





言われた方が辛いなんて知ってたのに。









…こんな病気になって。









そう言われた瞬間、





私は、





病気になった大毅の前で





初めて弱い涙を流してしまいました。笑









「………っ、」









もうなんて言ってるか、

むしろなにが言いたいかわからなくなるくらい。





ボロッボロになって。





ほんと、情けなかったです。

絶対、泣きたくなかったのに。









…おかん、泣かせた、









んーん、違う。

泣いてるのは、大毅のせいじゃない。





大毅の病気のせい。





病気が悪い。





何もかも、あの病気のせいなんやから。





そう言ってあげたいのに、泣きすぎて泣きすぎて、

また涙が出てくるから、大毅に心配されて。









…でもな、おとんが言うてた。









そしたら、また無意識に、

大毅は、こんなことを言ってきたんです。









「………ん？」









…神様は乗り越えられる試練しか与えへんって。









「……ん……言うてたねっ？」









…だからさぁ、









待ってて？









…おかんに絶対、恩返しするから。









そこまで言えば、はぁ、と息を吐きながら、

喋りすぎたわ、っていう顔。





その後に、にこって笑って。





私は、また泣きました。





この笑顔が、





ほんっとうに消えて欲しくなくて。





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