酔いに任せて【メローネ】 ページ9
Salute!
軽くグラスが触れ合う。深い赤色の液体が注がれたグラスから視線を上げて、メローネはにっこりと笑った。
「まさかあんたが俺と飲んでくれるとはね」
「どういう意味?」
「言葉通りの意味だよ。まさかあんたが俺と酒を飲んでくれるほど、俺を信頼してくれてるとは思ってなかった」
メローネの言葉に、自分でも確かにと頷いてしまう。私はメローネの能力を知っているし、もし酒に酔って口が軽くなった時に、メローネに母体に必要な情報を集められてしまったら、メローネは簡単に私を殺せるとも知っている。
「言われてみれば…なんで断らなかったんだろう?」
「それは、あんたが俺を信頼してくれてる…って事じゃあ無いのか?」
「…どうかしら」
私はちょっと笑って、注がれたワインに口をつけた。
何杯目かのワインを飲んで、ボトルを数本開けた頃には、私も少し酔いが周り始めていた。
「A、酔ってきたのか?」
「…みたい」
「はは、そうか」
そういうなり、いきなりメローネは私の手を取って唇をつけた。
「可愛いな、あんたは」
顔は特に変わりはない。だが、メローネも明らかに酔っている。
「指も細くて、綺麗だ。手入れもしっかりしてある……べネ…」
手先を弄ぶように触れたメローネの手が、今度は私の髪をつまんだ。
「綺麗な髪だ……」
愛おしむようにとったひと房の髪にキスをして、メローネは更に私ににじり寄った。気がつけば、対面で座っていたはずのメローネは私と肩が触れ合いそうな距離にまで近づいていた。微かにワインの香りのする吐息に、酔いのせいとは別の熱を感じ始める。
「A、俺は…嬉しいんだ、あんたが俺を信頼して……一緒にいてくれるのが…」
「だから…そういうのじゃ…」
違うな、とメローネは私の言葉を遮るように言った。
「あんたは俺がここまで近づくのを許してくれたんだ…。俺のスタンドがどんなものかを知りながら、あんたは俺をこの距離にまで近づかせてくれたんだ…」
整った顔立ちがすぐ目の前にまで近づいている。
「メ、ローネ…?」
「ああ、その呼び方…ベネ」
すっと細められた瞳が、私を射止めてしまった。体が動かせない。でも、不思議と怖くはない。
「愛してる、あんたが好きだ」
メローネの唇が深く私の唇に口付ける。
そのキスは、胸焼けしそうな程に甘いワインの味がした。
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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時