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旨い【ナランチャ】リクエスト・元チョコプリンの子さん ページ41

「旨い」の声が聞きたい。


「はい、お待ちどうさん」

 彼の前に並べたスパゲッティの皿に、彼は歓声を上げると、嬉しそうにフォークを掴んだ。

「ナランチャ、ちょっと待ちな」

「なんだよッ?」

「食前のお祈り」

 不服そうな顔をしてナランチャはお祈りの文言を呟いた。

「これでいい?」

「よし。さ、召し上がれ」

 その言葉を待ってましたと言わんばかりにナランチャはフォークに麺をまきつけ、口に運ぶ。そして、その顔がパァっと明るくなる。

「どう、味は?」

「…!!……!」

 口いっぱいのスパゲッティを飲み込むと、彼はニッと笑った。


「旨い!!」


 その一言に、アタシは微笑むのだった。
 ナランチャと出会ったのは、数年ほど前のことだ。ブチャラティに連れられてやってきた彼は、気の毒な程に痩せていた。

「A、こいつを少し頼みたい。面倒を見てやってくれないか?」

 ブチャラティの影に隠れるようにしてこちらを見つめる彼の目を見ると、戸惑うように揺れた。

「ナランチャくん、だったね。アタシはA。よろしく」

「…」

「お腹、空いてる?」

 ブチャラティの後ろで小さく頷く彼に、おいでと微笑む。

「食べたいものは?」

「…─」

「?」

「スパゲッティ…!」

 それが彼が初めて話した単語だった。そして、彼に簡単なもので悪いけどと出したトマトソースのスパゲッティを食べた時、彼の目はキラキラと輝いた。


「旨い…!!」


 泣きそうな声に、彼の過酷な過去が垣間見えた気がした。
 その瞬間に、彼の面倒を見ようを決めた。
 そして、それからというもの、彼はいつもスパゲッティを作ってくれと頼んでくるようになった。始めはオドオドと、今ではちょっと図々しく。
 その変化が何となく嬉しかった。そんな毎日が続くものなのだ、と漠然と思っていた。
 突然、ナランチャと連絡が取れなくなった。
 どこへ行ってしまったのだろうか、と帰ってこない彼を待つ日々が続いた。ブチャラティなら…と彼に連絡をしたが、彼にも繋がらない。ガランとした部屋に残ったナランチャの物だけが、妙に生活感を残している。

(ナランチャ、あんたどこ行ったの?)

 今日もアタシは1人彼の好きだったスパゲッティのソースを作っている。

(アタシね、意外と寂しがり屋なんだよ)

 ソースの香りが鼻をくすぐる。

(お願いだから、ちゃんと帰ってきて)

 じわり、と視界が歪んだ。



(また「旨い」って声をきかせて)

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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時

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