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共依存【ディアボロ】 ページ26

貴方の愛に依存している。


「A、お前は美しいな」

 狭い部屋の中で、貴方が私の髪を梳く。

「…初めて会ったときに比べると、随分と髪が伸びたな」

 するりと貴方の手が私の髪を掬い上げた。

(…確かに、伸びた)

 元々はショートボブほどの長さだった髪は、いつの間にか貴方の髪と同じくらいに伸びた。それほどまで長く、私はこの「狭い世界」の中にいたらしい。
 外に出られないことを除けば、不便はあまり感じない。彼は私が不満を感じないように、ギャングのボスという立場を徹底的に利用した。普通に外の世界で働いていたならまず食べられない美味しい料理やお酒が毎日のように振舞われ、とても手が出せないようなブランドの服が惜しみなく与えられる。
 だが、そんなことは私にはあまり興味がなかった。私が欲しいのは、目の前の男の「──」だけだ。

「ねえ、ディアボロ」

 私の声に、一瞬彼の手が止まった。

「どうした?」

 優しい声がする。その裏に潜む感情を微かに感じ、私は少し充たされた気分になる。

「外に出たい」

 そう言うと、彼の手から櫛が落ちた。カラン、と音を立てたそれを見つめていると、彼の腕が私を背中から抱きしめる。

「ダメだ」

 優しくも、有無を言わせないはっきりとした口調だった。

「それは貴方が困るから?」

「お前を愛しているからだ」

 彼はそう言って、私の体を壊れもののように優しく撫でる。

「お前の命を狙う奴らがこの部屋の外にはうようよと居る。いいか、この世界でお前が信じていいのはこのわたしだけなのだ。賢いお前ならわかるだろう?」

 ここで簡単に頷いてはいけない。私は、何も言わずにうつむいた。

「A、わかってくれ。これはお前の為なんだ」

 懇願するような響きがこもり始めた声に、私はまた充たされていく。


「それに…もし、お前がいなくなったら、わたしは狂ってしまう…」


 その言葉に私は微笑んだ。

(そう、その言葉が欲しかったのよ)

 私はそっと顔をあげた。腕の中で身をよじり、貴方を見つめる。少し目を潤ませ、小さく分かったと頷くと、貴方がほっとしたように口元を緩めた。

(なんてかわいい人)

 私を逃がさないために必死になって、あれやこれやと手を尽くす貴方が好き。
 私がいなくなりそうなそぶりを見せれば、私を繋ぎとめようとする貴方が好き。
 その全てが私を必要としていることを示すものだから。




(私をもっと必要として(愛して)。)

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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時

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