paradiso【セッコ】 リクエスト・きーはさん ページ25
2人だけの世界。
「セッコ、今日はどんな天気なの?」
カーテンをひく音と共に、微かな音が聞こえてくる。
「あ、め!」
「そう……じゃあ、今日は外には行けないのね」
「う、ん」
「それじゃあ、今日は何をしよう?」
目の見えない私と上手く話のできないセッコ。私達はそれぞれでは不完全だ。
だから、いつも私達は2人で一緒にいる。セッコが私の目に、私がセッコの言葉になるために。
「き、聞いてほし、いことが、ある!」
「なに?どんなお話?」
私の隣にセッコが座ったのを感じた。肩に触れる体温は幼い子供のように温かい。そっとその体温に身を寄せると、セッコは嬉しそうな声を上げた。
私より大きな手が、私の手を壊れ物のように包み込む。
「あ、あのな、この前な─」
「うん」
セッコの話はいつも面白い。この前の臓器で縄跳びした話なんて傑作だった。
私が声を上げて笑うと、セッコも笑う。
「…面白かった?」
「面白かった!前のよりずっと傑作!」
お腹を抱えて笑う私をセッコが抱き締めた。
「お、まえは、笑うと、可愛い」
「そうかしら?じゃあセッコの前ではいっぱい笑うわ」
「お、う!」
幸せな時間が、私の心を満たしていく。私を抱きしめるセッコの腕の中で私は微笑んだ。
「ねぇ、セッコ。私、貴方のこと大好きよ」
心からの言葉だった。
上手く話が出来ないことなんてどうでもいい。顔が見えないことなんてどうでもいい。
今、この場所にいて、私の笑顔を可愛いと言って、私のことを抱きしめているこの人が、私はどうしようもないほど愛おしいのだ。
「だから、どこにも行かないでね」
そっとセッコの腕に触れる。温かい腕だ。
「お、れも」
「?」
「俺も、おまえのこと、大好きだ!」
何度かどもりながらもセッコはそう言った。
そう言った貴方の顔はどんな顔をしているのだろう?そっと手を滑らせ、セッコの顔を探す。と、私の手の中に彼が顔を寄せた。
「お、れはお前の目、だから。は、離れたりなんて、しない」
セッコの言葉に私は顔をほころばせた。
「うん」
ああ、なんて幸せなんだろう。誰も私達を否定しない、誰も私達をバカにしない、たった2人だけの世界は、こんなにも─
「愛してるわ、セッコ。世界の誰よりも、あなたが好き」
こんなにも美しい。
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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時