助けて【レオーネ・アバッキオ】リクエスト・あいすすとろべりーさん ページ12
「あ…アンタが悪いんだッ!!アンタが!!」
金切り声を上げた男が、私を蹴るとそそくさと逃げていく。それをぼんやりと見つめながら、私はボタボタと落ちてくる血を拭った。
(最悪だ)
肋骨が数本、肩は…おそらく脱臼している。顔はかなり腫れているだろうなァ…なんて思いながら、私はゆっくりと顔をあげた。
「…」
きっかけは、同僚であるアバッキオと組んでとある組織に忍び込んだことだった。
たまたまカップルとして潜入した先で、かつてストーカーされていた男と再会した。ギャングになってからは、元居た町を離れていたこともあって、しばらくは被害に遭うこともなかったのだが、再会をきっかけに奴はまた私に近づき始めた。
そこで、アジトにいれば安心なのでは、というブチャラティの提案で、荷物を取りに帰り、アジトに戻ろうとした時に、襲われた。
考えうる二つの最悪の事態は避けられたが、状況は決して良くない。脚に撃ち込まれた弾丸のせいで、立ち上がれない。
「誰か…」
そう呟いたのを最後に、私の意識は途絶えた。
気が付くと、アジトのソファの上だった。
「目ェ覚めたか」
「…アバッキオ?」
「ああ」
夜明け間近の空のような色をした瞳が私を見つめていた。
「…お前、あいつにやられたのか?」
「はは、まあね。ギャングなのに、不意打ち食らうなんてほんと─」
「そういうことを聞きたいんじゃあねェ!!」
アバッキオの怒鳴り声に思わず言葉を詰まらせる。
「俺はよォ、お前には怒ってねェんだ。お前をこんな目に遭わせておきながらのうのうとお前を愛してるとのたまうあの野郎に怒ってんだよ!!」
アバッキオがぎっと唇をかみしめる。
「だが…お前の状況を知っていながら、護衛にいかなかった俺の判断の甘さが…一番腹が立つ…!!」
「アバッキオ…」
「…一言で良い」
アバッキオはそう言って、私の手を握った。
「助けて、ただそれだけでいい」
「…!」
「お前がそう言うなら、俺があいつに復讐してやる」
そう言われた瞬間、ボロと目の奥から熱い物が零れ落ちた。今になって、私は怖かったのか、と気が付いた。
半ば無意識に私は口を開いていた。
「助けて…アバッキオ…」
アバッキオは黙って私の頭に手を置くと、そっと額に口づけた。
「惚れた女に手を出したツケ、きっちり払わせて来るからよ」
「お前は俺の帰りを待っててくれ」
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りと(プロフ) - ∴さて、どこへ行こうか。さん» リクエストありがとうございます!返品が遅くなってしまい、大変申し訳ありません<(_ _)>リクエストの方、承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で取り扱わせて頂きたいと思います(^^♪ (2021年8月23日 23時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - ?さん» ?さん、リクエストへの返信が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした<(_ _)>リクエスト承りました!ここではお話がいっぱいになってしまいましたので、続編の方で書かせていただきますヽ(*^^*)ノ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 4416da2808 (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - モカさん» 返信がとても遅くなってしまい、申し訳ありません!リクエスト、承りました! (2021年7月19日 22時) (レス) id: b238753ec9 (このIDを非表示/違反報告)
∴さて、どこへ行こうか。 - リクエストです。普段甘えない花京院典明の恋人(夢主)が甘える、という内容なのですがよろしいでしょうか?出来れば生存ifを希望します… (2020年11月6日 19時) (レス) id: a195df0bb5 (このIDを非表示/違反報告)
?(プロフ) - リクエなのですが、露伴先生と病弱な夢主が恋人関係なのですがその病弱な夢主が意外にも悪徳的なスタンドを持っている事を知って何があったのかと聞くと泣きながら過去にあった親からの虐.待などを夢主が語っていき、その日は思う存分甘えされるみたいなのをください! (2020年3月27日 16時) (レス) id: d243ef7454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2019年1月9日 21時