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あれから数日経ち、保健室でマダムポンフリーとお茶をしているとマンドレイクの鳴き声で気絶してしまったグリフィンドール生のネビルロングボトム君が運ばれてきた。
マダムの手を煩わせずともその位なら僕でも対処ができるため、お茶を中断してベッドに横になったロングボトムくんの傍へ歩み寄る。
『さて、と。
はじめますかね』
手をかざし、掌から溢れる柔らかな光を額にグッと押し付けた。
青ざめていた顔に赤みがさし、苦しそうに歪められていた眉も穏やかに緩められる。
少ししてからパチッと目を開けた彼が、どこか焦った様子で起き上がったので慌ててそれを制した。
『あぁ!急に起き上がらないでください……
君は病み上がりも同然なんですよ?』
トン、と人差し指を彼の額にあてる。
僕を見てびっくりした顔をした彼だったが、その顔を赤くしたり青くしたり、冷や汗をかいたりしていて見ていてとても面白い。
「す、すみませんでした……ポップルウェル先生…」
悲しそうに、そして申し訳なさそうに項垂れる彼を元気づけたくて肩にポンと手を置いた。
『謝る必要なんて何もありませんよ?』
チラッと僕に顔を向ける。
少しして、泣きそうな声でこう話した。
「僕………いつも授業でヘマをするんです。
成績も良くないし、いつもオドオドしているから皆からバカにされて……」
『…………』
「僕………先生みたいになりたいです」
『え?僕?』
「はい……!
皆話してます、ポップルウェル先生は英雄だって!
勇敢で賢くて……仲間思いで優しくて……!
勲一等マーリン勲章を最年少で受賞するほど優秀で、魔法界の皆に勇気と希望を与えた………
それなのに、謙虚な姿勢を貫いて今でも皆に影響を与え続けている素晴らしい魔法使いだって!!」
………凄く褒めてくれる。
興奮したように頬を染め、目をキラキラさせながら僕の事を話す彼はとても可愛いらしく見えた。
『ふふ、ありがとうございます』
「………でも、先生みたいになりたいって僕が言ったら皆笑うんです。
無理に決まっているだろう?って………それが悔しいけど、言い返せない自分がもっと恥ずかしいんです」
強くなりたい、と彼は肩を落とした。
ふむ、と顎に手を当て考える。
『僕が思うに……。
君は僕なんかよりももっと素晴らしい魔法使いになると思いますよ。
僕が出来ないことを成し遂げる、強い力を持っている』
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わさび(プロフ) - 海月湊さん» 嬉しいコメントありがとうございます!そう言って頂けると励みになります!これからもよろしくお願い致します。 (2022年9月2日 21時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
海月湊(プロフ) - とても面白かったです。私好みの、作品でした。続きを楽しみにしています。更新頑張って下さい。 (2022年9月2日 18時) (レス) @page20 id: 5a465236d8 (このIDを非表示/違反報告)
わさび(プロフ) - ぶどうさん» 応援のコメントとご指摘ありがとうございます!編集いたしました!これからもよろしくお願いします´`* (2022年8月27日 21時) (レス) id: 4f48927b1a (このIDを非表示/違反報告)
ぶどう - コメント失礼します。凄いスラスラ読めて、とても面白かったです。これからも応援してます!(細かい事ですが、マルフォイのファーストネームはドラコだと思います) (2022年8月27日 20時) (レス) id: 0aed378d42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わさび | 作成日時:2022年8月23日 15時