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175.(side T.O) ページ28

「ほな上手いこといってんねや」

「うん。あの時背中押してくれてありがとう」

「大倉が諦めんと頑張ったからやんか。良かったなぁ」



仕事帰り、ようやく前に進めそうやとヤスに話しておきたくて2人で寄ったBAR。

ヤスは自分の事のように嬉しそうに微笑んだ。



「はよ戻って来てくれるとええな」

「まぁ、店の事もあるからすぐには無理やろうけど…」



なんて、まだ答えは聞いてへんのにすっかり浮かれ気分で。

言うても、答えはYESやろ。

他の答えを聞いてやるつもりもないしな。



「…でも、そやな……はよ戻って来て欲しいわ」



正直、長い事離れとったから、なるべくなら早く帰って来て欲しい。

あの部屋にAがおるとこ想像したらそれだけで胸がじんわりと熱くなる。

気付けば俺も勝手に顔が綻んどった。



「…ヤスは?どう?結婚、許可下りたやん?」

「どうもこうもないけどなぁ。ほんま、みんなには迷惑掛けるわ」

「何言うてんねん。俺らは迷惑なんて思ってないし、eighterもヤスの言葉聞いたらちゃんとわかってくれるって」

「そうやとええけど…こればっかりはなぁ」

「…まぁな。でもおめでとう。やっとやん」

「まさか俺が1番になるなんて、年上組に申し訳ないわ」

「何言うてんの。信ちゃんも横山くんも報告した時泣いとったやん」

「…そうやったなぁ」



ヤスにとっても俺らにとっても大変な時期をずっと支えた大事な彼女は、俺らにとっても大事な子や。

そら自分の事のように喜ぶに決まってるやん。

思い出してるんか微笑んだまま、ヤスの目にうっすら涙が浮かぶ。



「…幸せにな」

「大倉も。次は離したらアカンで」

「ほんまやな。こんな距離感もう懲り懲りや」



男2人、しかもメンバー。

バーのカウンターで微笑み合ってて、側から見たらちょっとおかしいかもわからんけど。

そんなん気にならんくらい、ええ気分。

何もかも上手い事いっとる。その事実に、今日も結局酒が進んでしまう。

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作者名:咲菜 | 作成日時:2022年8月16日 20時

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