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来週行くから、いつものようにメッセージが届いた。

お待ちしております、と他人行儀な返事を送り返すのはせめてもの抵抗だ。

すぐに既読がついて、怒った顔したクマのスタンプが送られてきた。

そのスタンプに忠義くんの拗ねた顔が浮かんで、勝手に頬が緩むから本当に困ったもんだ。



約束の日、きっと来るのは夕方だろうと思っていたのに、着いたとスマホが震えたのは朝の事だった。

慌てて店に下りて忠義くんを迎え入れる。



「…もしかせんでもスッピン?」

「だってこんなに早く来るなんて思わなかったから」

「…なんか……ちょっと老けたな」

「…ほんと相変わらず失礼」



時折私を襲う失礼な発言は、距離が出来たせいか案外胸に刺さる。


それはさ、私は普通の人だもん。

芸能人みたいにいつまでも若くて綺麗なままでいるのはなかなか難しい。

忠義くんだってちょっと老けた…気がするだけかもしれないけど。

でも男の人は年を重ねるとそれはそれでカッコ良かったりするから羨ましい。

恨めしい気持ちで忠義くんを見上げると、いつもは笑う癖に、ちょっと神妙な顔しちゃって。

そんなに見るに耐えないのかと不安になる。



「大丈夫やで。しじゅうには見えんへんから」

「当たり前でしょ。まだしじゅうじゃなんだから」

「なぁ、それよりなんでスッピンやねん。出掛ける言うたやろ?」

「…言ってないけど」

「そうやったっけ?じゃあ出掛ける。出掛けるからめっちゃ可愛くしてきて」

「なんで?」

「デートしよ?」

「…なんで?」

「ええからはよして、もー」



はよはよ、と忠義くんに急かされて半ば強引に部屋に戻された。


デートってなんだろう。

いくら田舎とは言えトップアイドルが彼女でもない私と真っ昼間にデートするなんておかしいのに。

それでも忠義くんが待ってると思うと、言われた通りに支度を急ぐ自分がいる。

可愛くなるかはわからないけど、久しぶりに他所行きのメイクして、お気に入りの洋服に身を包む。

そして……。

ドレッサーの引き出しから1度も付ける事が出来なかったネックレスを取り出した。

一通りの支度を終えて店に戻ると、カウンターに伏せて忠義くんが目を閉じていた。

疲れてるんだろうな。

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作者名:咲菜 | 作成日時:2022年8月16日 20時

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