#41 ページ43
五条「…入るぞ」
1分ほど扉の前でノックするのを躊躇ったあと
俺は意を決して医務室の扉を開けた
ベッドに座っている一年と
側の七海がふりかえる
七海「じゃあ私はこれで」
『あ、はい、おやすみなさい
ありがとうございました』
七海「……あまり無理しないでくださいよ」
『！、…はい』
意味ありげにそいつに声をかけた七海が
俺の方に歩いてくる
七海「言葉は選んでくださいね」
五条「！」
すれ違いざまに忠告されたことで
七海が俺とそいつを二人だけにすることに
賛成していないことは容易にうかがえた
俺はｷｭｯと口を結んでそのベッドに近づく
『すみません、こんな時間に呼び出して
最近忙しいですし
謝罪とお礼を早めに直接済ましておきたくて…』
五条「別に…謝られることも
礼を言われることもねえよ
…俺、何もしてやれなかったし」
『えっ』
五条「え？」
どんよりと落ち込む俺の耳に
突然すっ頓狂な声が届いた
あまりにも間が抜けすぎていて
つられて俺も間抜けな顔になる
『私…嬉しかったんです、けど…？』
五条「……はっ？なにが…？」
『すごく気持ち悪くて…息もできなくて
頭はぐちゃぐちゃになるし
意識も朦朧としてたんですけど
五条先輩の必死な声だけは聴こえてたんです』
五条「！」
『だから…ちゃんと誰かが隣にいてくれてるのがすごくよくわかって…
独りじゃないってわかったら
ちょっとだけ気が紛れましたし
先輩があんなに心配してくれるなんて思ってなかったから…嬉しかったんです、私』
五条「…っ！、なん、だよ…それ」
俺はお前を死なせるとこだったのに
お前よりずっと長いこと
この世界で生きてて
ああいうのも別に、初めてじゃなかったのに
…ただの
頼りない先輩だったのに
五条「(そんなふうに…笑うなよ…)」
眩しくて
泣きそうになる
『あ、それから謝罪…っていうか…
これを五条先輩に言うのも変かもしれせんけど
私のせいで…すみません』
五条「……？、なにが…？」
『今日…命がひとつ…失われたことです』
五条「………………………は？なに、いってんの
まさかお前
子供が死んだのが
自分のせいとか思ってんの？」
____月明かりが差し込む医務室の中
さっきまで穏やかだったはずのその空気は
そいつの一言によって一瞬で色を変えた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3429人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
街角のドーナツ屋(プロフ) - 屋久屋さん» ありがとうございます！！ぜに最後まで見届けてやって下さい！ (2022年12月21日 22時) (
レス) id: 2c7b5feb18 (このIDを非表示/違反報告)
屋久屋 - まじで最高。五条の「好ぎ」は笑った😂 (2022年7月26日 12時) (レス) @page49 id: 7da54e53b8 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - 時さん» ありがとうございます〜〜！！私もいただいたコメント読んでニヤけてます(笑)これからも時さんにとって尊いｺﾞｼﾞｮでありますように！続編もよろしくお願いします！ (2021年6月13日 16時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
時(プロフ) - も、あの、好きです（唐突な告白）あの、あの（尊すぎて言葉が出ない）ずっとニヤけて読んでます。最高の需要をありがとうございます！！これからも無理せず、更新頑張ってください！応援してます！ｺﾞｼﾞｮが尊い……！！ありがとうございます作者様！ (2021年6月13日 15時) (レス) id: 65803b71a1 (このIDを非表示/違反報告)
街角のドーナツ屋(プロフ) - 華生さん» 刺さりましたか！？コメントまでもらえて二重に嬉しいです〜！！(*ﾉ▽ﾉ*)面白いと言ってもらえるとほんとに自信になりますしやる気に繋がります！ありがとうございます！！！！ (2021年6月8日 0時) (レス) id: 282020a4c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：街角のドーナツ屋
| 作成日時：2021年4月12日 12時
