問題児2人と保護者1人。ただし最強。

肆話 ページ10

　
　
　
もとから対して入っていなかった胃袋が空になった


だからといって今は何も食べたくない


教室に戻るか、自室に行くか


…教室、行こう


夏油くん、まだいるかな


教室に向かう途中、前方から五条くんが歩いてくるのが見えた


部屋に帰るところなのかな


気まずくて何も言わずすれ違おうとした


…んだけど


「おい」

『！』

「今度はちゃんとやり合おーぜ」

『！え』

「傑ならまだ教室にいるぞ」


それだけ言ってまた背を向けて歩き出してしまった


『……え、なに？』


今僕が見たのは…五条くんだった？


全然態度が違うんだけど


それに、夏油くんのことを傑って？


考え事をしながら歩いていると思い切り人にぶつかってしまった


ﾄﾞﾝ)

『うっ』

「おっと、ごめんね。大丈夫かい？」

『あ、夏油くん。五条くんと何か、あった？』

「ん？あぁ、強いなって言われたよ」

『…仲良く、なったの？』

「そんなところかな。どうして？」

『普通に話しかけられた、から。その、びっくりして』

「さっきのことで考えを改めたんだろう。あ、悟と戦うより先に私と戦ってほしいな」

『考え、とく』

「ふふ、手厳しいね」


温かいな


人生で初めての友達かもしれない


さっき小学生のとき、って言ったけど


僕は小学校も中学校も行ってないから、友達というものを知らない


初めてが夏油くん達で良かった


出会って間もないけど、そう思えた


「？私の顔に何かついてる？」

『あ、ううん！なんでもない、よ』

「そうか？…昼時だけど、Aはお昼どうする？」

『え、あ、お、お腹空いてないや。僕は、動いてないから』

「確かに刀を抜いただけだったね。じゃあ私は食堂に行くよ」

『うん。じゃあね』


今日の食堂のメニュー、確か昼がうどんで夜が生姜焼きだったな


コンビニで買うしかないか


……あれ？夏油くんさっき「悟より先に私と」って言ったよね


僕と五条くんの話聞いてたってこと？


…夏油くんもよくわからない人かもな

　

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