問題児2人と保護者1人。ただし最強。

弐拾捌話 ページ37

　
　
　
最近、ふと考えることがある


御三家は高専に通わなくても良いのではないか、と


悟くんは家系で入学してきたらしいけど、別に通わなくても教育は受けられるだろう


まぁ家の中で色々ああしろこうしろ言われるのは悟くんにとっては地獄かもしれないけど


僕としては……禪院家が心配なんだよね


あそこ、確か僕と同じくらいの年の子供が一人いたはず


どうしても気になって、僕は休日に家に帰った


「お前から来るとは珍しいな。どうした」

『……禪院家について伺いたくて』


僕がそう言うと万里さんは目を軽く見開いた


一度目を伏せ目頭を手で揉んだあと、その体勢のまま僕に尋ねてくる


「急になんだ。何か問題でも、」

『いえ、問題が起こる前にと思ったまでです』

「……と言うと？」


急に鋭くなった万里さんの視線に気を呑まれそうになりながらも言葉を続けた


『…禪院家にも次期当主になる方がいらっしゃいますよね。確か僕と年が近かったはずです。
もし、さと……五条くんと同じように呪術高専に入学しているのならば……おそらくは京都校でしょうが、姉妹校交流会で会う可能性も考えられますので』

「…なるほど。そういうことか。それならばいい知らせがある。
私を贔屓にしている者からの情報だが、禪院家次期当主とされている人物の名は禪院直哉。個人的な意見としては性格に難しかないようだが、中々の実力者だそうだ。年齢16歳でお前の一つ下。高専には通わずにいる」


万里さんの言葉を2回ほど反芻して、僕は胸を撫で下ろした


つまり禪院家の人と会う確率なんて無いに等しいんだ


…実際はそんなことないだろうけどそう考えないと落ち着いていられない


その後、万里さんから禪院直哉という人について聞いた


…凄い嫌な人だなっていうのが感想


男尊女卑？自分が当主になって当然？


イカれてるんじゃないかとしか思えない


でも、もしかしたら御三家の当主になるくらいの人はそんなものなのかもしれない


悟くんがイレギュラーなのかな…
　


悟くんが五条家当主になったら
　


そうしたら、僕はこんなに怯えながら過ごさなくてもよくなるかも


　
　
　
　
　
　
　
　

　
　
　
……こんなことを考えるなんて、最低だな、僕は

　
　

弐拾仇話→←弐拾漆話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す