問題児2人と保護者1人。ただし最強。

拾陸話 ページ23

　
　
　
雪の降る日、僕は出張で仙台に来ていた


「ありがとうございました！本当にありがとうございました…！」

『…頭を上げてください。もう何も怖いものはありませんから、安心してくださいね』

「はい…！」


呪霊に襲われかけていた女性を助け、しっかりと呪霊も祓った


二級呪霊の討伐、案外早く終わったな


泊まりの予定だったけど帰っても良さそうだ


ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ)
『あ、すいません。今日予約していた国重なんですけど、キャンセルってできますかね？……はい、ありがとうございます』


時刻は18時


20時くらいの新幹線に乗れればいいかな


あ、五条くん達にお土産買っていこう


甘い物、何かあるといいなぁ


仙台駅へと向かうバスの中で僕はそっと宗三と薬研の入った鞄を撫ぜた


帰ったら報告書書かなきゃ…二級呪霊の討伐…一般人への被害はなし…


一人で十分事足りる任務ではあったけど、今僕一人にされたら激重感情に押し潰されそうだよ…


そんな僕の鬱々とした思考を止めたのは、視界に飛び込んで来た鮮やかな光だった


『うわ、綺麗…』


ニュースで見たことがある


毎年この時期に仙台でやっている「光のページェント」


見る機会があるとは思わなかったな


無意識に僕の手は降車ボタンに伸びていた


多くの人が行き交う通りを人の流れに沿って歩く
　
　


…綺麗だな


道行く人たちも楽しそうな、幸せそうな表情をしている


こんなに人がいて、呪霊の気配すら微塵も感じない

　

ここは幸福に溢れているんだ

　

『いいな…………ｸｼｭﾝ』

　

さすがに高専の制服じゃ寒すぎる


早くお土産買って帰らなくちゃ
　

　
　
　
　
僕の幸せが待つ場所に
　
　
　
　
　

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