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漆話 ページ13

 
 
 
『ん……』


いつの間にか眠っていたらしい


意識がなくなる前は明るかったために部屋の電気はついていなくて、ドアの隙間から射し込む廊下の光だけが場違いに光っていた


手探りで携帯を探し当て開く


…20時


2、3時間寝てたのか


『コホッコホッ……喉が…』


口でも開けて寝ていたのか、喉に何かが貼り付くような感覚を覚えた


…僕、呪言師じゃなくて良かった


コンコン)


ん?誰だろ


「A、いるかい?そろそろ夕食を食べないと食堂が閉まってしまうよ」

『…わかった。今いくよ夏油くん』


目を凝らして部屋の中の障害物を避けドアを開ける


そこには驚いた顔の夏油くんがいた


『?どうしたの?』

「いや、いると思ってなくて。電気ついてなさそうだったし」

『寝ちゃってた(笑)起こしてくれてありがとう』

「……大丈夫かい?」

『うん、大丈夫だよ』


何に対して「大丈夫」なのかを夏油くんは聞いてこない


そんな夏油くんの視線から逃げるように歩き出した


少しして足音が後ろからついてくる


「…君はもっと、頼っていいんだよ」

『!』


思わず足が止まる


夏油くんが僕を追い越した


「私たちが信用ならないなら構わないよ。でも、今の君を見ていると独りでいることがとても辛そうだ」


もういいよ


「一人で抱え込んでは、いつかAが壊れてしまう」


足を止め、こちらを振り返る夏油くんの顔を僕は見ていられなかった


それ以上、言わないで


「私たちはAのことが…『わかってるよ』、!」

『心配してくれてるんだよね。ごめんね、皆のことはとっても信頼してるよ』


でも、頼ることはできないんだ


一度手を掴んだら、二度と戻ってこられないような


君たちはそんな存在なんだ


僕には、眩しすぎるんだ


ごめんね
 
 
 


 
 


【Aのことが、好きなんだよ】


夏油くんがそう言おうとしていたことを、僕は知らない
 

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乃愛(プロフ) - 薬研藤四郎!刀剣乱舞!まじで嬉しいです!男主の愛されってあんまりないので嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月17日 11時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
黒弧(プロフ) - えっと!絵を書かせていただいて、Twitterで、出しました。黒弧って調べて見てください。 (2022年10月2日 9時) (レス) @page1 id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
豆乳様。(プロフ) - 間違えて、コメント消してしまったので再コメントです…。あの…、奇跡的に苗字に国が付いてるとことか誕生日が同じとか私と共通点多すぎてビックリしました!!なんか、テンション上がりますよね(え?)www最強コンビ好きなので、この作品神作です!! (2022年1月8日 22時) (レス) id: 0c1825ef28 (このIDを非表示/違反報告)
Dオタの極み - トウモロコシさん» コメントありがとうございます!やっぱり薬研藤四郎って人気な刀なんですね… (2021年7月14日 8時) (レス) id: acb1846eac (このIDを非表示/違反報告)
トウモロコシ(プロフ) - あ……もう刀に薬研藤四郎がいる時点で神作品だと悟った (2021年7月14日 2時) (レス) id: 59f131ffc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Dオタの極み | 作成日時:2021年5月11日 23時

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