問題児2人と保護者1人。ただし最強。

陸話 ページ12

　
　
　
ｺﾝｺﾝ)
『失礼します。夜蛾先生、戻りました』

「あぁ、おかえり。二級呪霊二体だったな？」

『そのことなんですが…一級呪霊と遭遇しまして』

「なんだと？」

『問題なく、討伐できました』

「…問題なく？その腕は問題じゃないとでも言うつもりか？」

『かすり傷です。処置はしてあります』

「すぐに硝子に見せ『家入さんには』、！」

『家入さんには治してもらいません。自然治癒でいいですから……失礼します』


夜蛾先生の返事を待たず職員室を出た


早く部屋に帰ろう


誰にも見つからないうちに、早く…


「ちょ〜っと待った」

『！』


左腕を掴まれる


『…離して、五条くん』

「やだね。ほら硝子んトコ行くぞ」

『どうして？』

「は？怪我してんじゃん」

『僕は家入さんに治してもらう気ないから。もし家入さんが、僕が怪我したこと知ってるなら言っておいて』

「…んでだよ」

『…大したことないからだよ』


心配してくれてありがとう


その言葉は口に出さなかった


ゆっくりと五条くんの手が離れる


何か言いたいけど言葉が出てこない、そんな様子の彼に少し微笑んでその場を後にした



ﾊﾞﾀﾝ)

『はぁ…』


世の中うまくいかないな


中田さんも、夜蛾先生も、五条くんも


僕を心配して言ってくれてるのに


すごい無下にしてるよなぁ…


［心苦しいなら術式をバラしてしまえばいいんじゃないか？］

『…そんなことできるわけないでしょ。酒呑童子』

［クックッ。いつかは暴かれるさ］

『ッ…僕はそんなヘマしない』


僕が死ぬまで守り抜くべきことなんだから


ミスは許されないんだよ


『いくら頭の中とはいえ勝手に話しかけて来ないで』

［悪いな。そうでもしねぇと坊が潰れそうだったもんで］

『…そう』


頭の中から気配がなくなった
　

空っぽになった頭で、あることを考える


さっき五条くんに微笑んだのって見えてないよな、なんて
　

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