脱出 ページ50
賑やかな着信音が鳴る。ベットに寝転がりながは電話に出た。
「おっ！彩人！！早速電話かけてくれてんじゃーん！！」
《まあね。なんか変な感じ。》
「だってこんなに一緒に居て、連絡先すら交換してないってあんま無いぜ？俺お前だけだったもん。いまだに番号知らないヤツ」
《大袈裟な。まあ、めんどくせぇってのはあるよな》
「へへっ、お前っぽいわ」
先程、彩人と連絡先を無理やり交換して、何とか家路についた。彩人はついさっき起こった事件なんて忘れたように、ケロッとしていた。いつもよりも元気そうで何よりだ。
「今日は大変だったなー！！そろそろ寝るか？」
《あのさ、切島。》
「ええ！！？」
《…なんだよ。》
「お、お前、今、切島って…切島って言った！！！！」
彩人は今までまともに人の名前なんて呼んでこなかったのに！？本当は頭とか打ったんじゃないのか？ヤバくないか？？だってあの彩人が！！あの「人間なんてみんなクソ」みたいな面したあの彩人が！！彩人が俺の名前を…！！彩人の成長を感じられて俺嬉しい…！！
《失礼なこと考えてるだろ。》
「なぜバレたし…」
《…切島、今日のあれな、》
「うん。」
《お前が来てくれたの、なんか嬉しかったぜ。ありがとな》
「…っ！！」
《…なんか言えよ》
「いやなんかな、俺感動しちまって…！ダチにそう言って貰えると俺もスゲー嬉しいよ！！こっちこそありがとな…！！」
《これからも友達？》
「モチのロンだぜ！！ずっと友達だ！！」
《ありがとう。これでモヤモヤは全部晴れた！そろそろ寝るわ。じゃあな。》
「おー。おやすみ」
ツーツーツー。
色んなことがあったけど彩人との友情パワーが超絶強まった気がする。いや確実にそうだ。やっぱ友達はいいな。明日から頑張れそうだ。というか夏休みか。しばらく学校ねえのか。鍛えよ。
止まらないニヤニヤを隠すように布団を被って眠った。
____
家庭訪問や夏休みの宿題があったものの(宿題の割合が圧倒的だけど)。長いようで短い夏休みが終わった。久しぶりにみんなと会えるのか。日焼けとかしてんのかな。ガングロ彩人はちょっと見たいかも。
八月が忘れた暑さが残った廊下を走り抜け、
俺は教室の扉を開ける。
九月一日。
彩人は学校に来なくなった。
_____
まだまだ続きます。
いよいよ連合の仲間入りです！！
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作者名：鞘駄律機 | 作成日時：2021年8月26日 14時
