雄英脱出【死柄木弔】 (ページ48)

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ビフォーアフターページ48

「立てオラァ！！」

　「分かった、分かったから。」

爆豪は戦う気満々らしい。それにつられて俺の気持ちもヒーロー側。武器はない。だから置きっ放しの割れた酒瓶を手に取った。ガラスの鋭さは身をもって知っている。

死柄木さんにそれを向けた。初めを思い出す。俺が向けた刃は今度こそ刺さるかな。

「どおもーピザーラ神野店でーす」

　「っ！」

壁が見事にぶち壊される。待ってた酒瓶も吹っ飛んだ。

盛大な登場。何ということでしょう。閉塞感のあったバーに、星空がのぞく大きな窓が出来たではありませんか。助けに来たんだな、オールマイト。

死柄木さんを殺すことはまた叶わなかった。

「っ黒霧！！アヤトくん守れ！！！」

　「え…」

連合のみんなはいつのまにかヒーローに捕まっていた。死柄木さんは先ほどとは変わって俺を見ている。俺は俺を見てくれる死柄木さんが好きだ。

だから俺は今の死柄木さんを捨てられない。

俺を助けるヒーローはいないと思ってた。だから今、彼に頭を撫でられて変なんだ。彼は俺を助けたのか？

母親の言うヒーローが、俺の目指さなければいけないものが、オールマイトならば、俺はコイツが嫌いだ。母はオールマイトというクレヨンで俺を塗りつぶすのだ。

そっか、やっぱ俺、

「おまえが！！嫌いだ！！！！」

死柄木さんがそう叫んだ瞬間、脳無が現れる。空中で沸く黒い液体から這い出てくる。隣を見ると爆豪はその液体を吐いていた。他人の心配なんてしてる場合でなく、俺もそれを吐いた。

転送させられる。屋外に飛ばされた。バーの穴から見た時よりも、鮮明で広い空が広がっていた。ビルは全部倒壊していた。

「カハッ…おい、いるか？」

　「うええ、…いるけど？何？」

もちろん何のことだか分かってるさ。絶体絶命なことくらい。

敵のボスが俺たちの目の前にいる。オールマイトをブッ飛ばすくらいサイキョーのが。

「一緒に行こうよアヤトくん！」

　「…。」

ヒミちゃんやその仲間達は俺たちに猛烈なアタックを繰り返す。今度は問答無用で連れ去る気らしい。

「俺たちのせいでオールマイトが戦えねえ…！」

　「どうすんだよ！うわ危なっ」

視界を奪うか？でもキャパが来たらマジでやばい。

「おい…見ろ！」

上空に何かがいる。その視界を覗く。俺を見てる。俺たちを。あれってもしかして切島？

「っ来い！！」

「おい色取！飛ぶぞ！！掴め！」

　「バカじゃねーの！！」

俺を本当に助けたのは空飛ぶ切島＋αだった。