雄英脱出【死柄木弔】 (ページ46)

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現行犯ページ46

「俺、A組の皆んなも連合の皆んなも好きだ。」

「どっちもはムリなんだよ。ゴメンなぁ。それじゃ、攫わせて」

優柔不断な俺はどっちかを切り捨てられない。どうにか全部拾おうとして結局全部失くしてしまいそう。それでも好きなものは好きだから。とりあえず、ダビさんを刺そうと思う。意味は特にない。

逃げようと思えば多分行けたと思う。でも一ミリもそんな気は起きなかった。ただ気配を消して、木々に溶け込んで、助走をつけて飛び出す。ダビさんを床に倒して動けないよう組み伏せる。

最後にアイスピックで、思い切り首を刺した。何度も何度もやったが、様子がおかしい。もしかして効いてない？

　「…あれ。」

「…怖えよ。あー、もう。」

次の瞬間ダビさんの顔がドロリと溶ける。そして跡形もなく消えてしまった。これ、偽物だ。誰かの個性？新しいメンバーかな。

左手に握られたアイスピックを見た。まだまだ綺麗。そんなことを思っている暇もなく、背後からの声に前身が硬直する。今度は本物のダビさんらしきモノだった。

「すげえな。でもさっきのはトゥワイスの個性なんだ。ゴメンな。それじゃおやすみ」

ガツンと頭の中に重低音が響く。ブン殴られたらしい。背後はずるいよな。ぐらりと歪む視界の奥に、俺を見るダビさんの目があった。

______

「ったく、しょうがねえなあアヤトは。殺意高すぎだろ。仲良かっただろ結構。よっと、重っ」

「嫌われてるよ！ベストフレンドだよな！」

静かに気絶するアヤトを持ち上げる。高校生なだけあって結構重い。俺よりデカいし。台車とか持ってくれば良かったか？

「おい、トゥワイス。手伝えよ。」

「もちろんだぜ！え、嫌だよ。」

コイツはずっとこの調子で参っちまう。ため息をつくと、草むらからイカれ女が出てきた。そろそろ集合時間か。

「あ、アヤトくん！寝ちゃっててカアイイですねえ！」
「トガちゃんテンション高くね！？」

「うるせえな。黙っ」

それぞれ任務を遂行し安心した矢先。強烈な轟音と共にヒーローのガキ共が登場した。といっても空からMr.を踏みつけて降ってきただけだが。迷惑だ。

「知ってるぜこのガキ共！誰だ？」

アヤトを抱えたままじゃ戦えねえ。だがMr.とも距離がある。無傷で連れてくるって約束だからなあ。ったく。めんどくせえ。

「おい、何とかしろ。」

トガ達が戦ってる間に爆豪の確認をする。色々あったが問題なし。

「帰ろうか。」

絶望するガキ達を他所に、黒霧のゲートを潜った。