雄英脱出【死柄木弔】 (ページ34)

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エゴイストページ34

放課後、切島の誘いを3回ほど断って帰路についた。放課後に誰かが迎えに来る。俺は誰にも見られないように繁華街の裏路地に入った。

薄暗く狭いここはまるで別世界のようだ。奥に進んでいく。後ろでニャアと猫の声がした後、辺りは黒い霧に包まれた。

「探しましたよ。色取彩人。」

　「どーも。」

やっぱりメールの正体は死柄木さん一行だった。暗闇を進む。すぐに柔らかい光で目が眩んだ。

「アヤトくん…！待ってたよ」

　「死柄木さん」

声がする方を向けば俺を見る死柄木さん。顔には相変わらず手が張り付いてる。気持ち悪い。さっさと取り払ってしまいたいと思うのは俺のエゴ。

　「なんで俺を連れて来させたんですか？」

「あー、やっぱアヤトくんだな。ガキでもないし礼儀も弁えてる」

そう言って死柄木さんが指差したのは知らない２人。何コイツら。死柄木さんと一緒にいる奴らが増えた。全身ツギハギな男に気色悪い笑顔のセーラー服。

　「…誰。」

「貴方がアヤトくん！？弔くんが言ってたんです！」
「いやいや、コイツもガキじゃねえか。エコ贔屓だせ？」

「黙れ。アヤトくんは特別だ」

特別。その言葉が心臓をドクンと刺激する。死柄木さんは俺のこと認めてくれてる。そうなったら尚更見て欲しくなっちゃうじゃないか。リュックサックからあの日盗んだアイスピックを取り出した。

死柄木さんは俺を特別と言う。なのに見てるのは得体の知れない2人だ。なんで？自分で特別なんて言うのはおこがましいけど、俺はそれほどの価値がある。きっとね。

死柄木さんの背中。俺はガラスで怪我してて、死柄木さんはアイスピックで怪我をする。痕が残ればお揃いだ。両手でしっかり握って掲げる。ツギハギが俺の手を見て目を見開く。それに気付いてセーラー服は目を輝かせる。

やっぱり気持ちがいいね。見られるって。

　「死柄木さん、と、おそろーい」

「ひゃー！すてきぃ！！」
「あ、おい！」

死柄木さんが振り返る。あれ、おかしいな。死柄木さんの顔が見えない。手が、邪魔で。これじゃ意味ないよ…。俺と死柄木さんの間に壁があっちゃダメなんだよ。俺を見てないじゃん。

　「…やーめた。」

「また未遂？アヤトくん。」

　「嫌いになりました？」

「ぜんぜん。」

まだ氷しか割ったことがないアイスピック。本来の用途通りだわ。バーに返そうと思って持ってきたけど、まだ俺の物にしとこう。

「アヤトくん！！私トガヒミコ！お願い！お友達になって！！」