雄英脱出【死柄木弔】 (ページ24)

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【次の対戦はー！？障害物競走でハチャメチャ友情見せてたこの2人！ゴリゴリ武闘派！切島鋭児郎vs小悪魔どころじゃねえ！色取彩人！】

開始のゴングが鳴った。スタジアムのでかいモニターに映し出される映像を撮るカメラはちょうど切島の後ろ。良い感じに写ろう。

　「小悪魔だって。俺はもっと魅力的だよな」

「しらねーけどよ！オラ！」

切島はちゃんと拳を硬化して俺に殴りかかる。俺は視界を覗いてるからこいつの挙動が丸わかりで、避けるのは容易い。
でも油断は禁物。

「避けてばっかじゃ！勝てねえぞ！」

　「…ッ顔やったな？」

さっきよりも速いスピードで殴りかかってきた。避けれなかった。あーあ、鼻血でちゃったよ。でも、盛り上がってるな。
みんな俺たちを見てるんだ。

　「視界奪っちゃう」

「んなぁあ！見えねえ！？」

目をつぶったり、塞がれたり。見えるものが黒以外全部なくなった時、人はどうしようもない不安に駆られる。
切島は懸命に耳を澄ましていた。

　「俺を見つけてごらんよ」

「っくそ！どこ行きやがった」

俺は切島を殴れない。殴った時に硬化されたら俺の手がボロボロになっちゃう。だったら場外を狙う。いろんな視界を見せて混乱させる。

問題は誰の視界を見せるか。俺の？審判の？観客の？それじゃ不自然だ。切島の視界と全然違う。

なら何？カメラだよ。
俺たちをいろんな方向から撮ってる。俺は無機物だっていけるんだぜ。人よりできることが少ないけど。

　「ほら返してやるよ」

「はっ！？わからんわからん！」

相当酔いそうな絵だ。切島はいろんな角度に狼狽え、側から見れば見えない何かと戦っている。

　「人間が得る情報量の87%は目からなんだって。耳や鼻も使ってやれよ、あはは」

【観客は何が何だかイマイチ分からねえが押してるぜ色取彩人！！】

　「俺の個性地味よなぁ」

切島に詰め寄る。見えてないから気づかれない。こいつは俺の声が耳元でして初めて殴るべき相手がそこにいることを知ったんだ。

　「触覚は1.5%。たった1.5%で俺を見つめてみろよ」

切島と両手を繋ぎ、ぎゅっと握る。硬化されようが構わない。俺の手から血が出たって切島の心が辛いだけだ。

手を振り解こうとする切島を無理やり押さえ込む。こうなったら力比べ。場外まで押し出してやる。

「なっ！お前多分血…っ！」

　「気のせいだよ。」

「ハッ！お前のこと頭脳派だと思ってたよ、俺は！」

見えてないハズなのに、切島は前を見て笑ってた。