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役立たず ページ22

「危ない」

少し、歩き出した時のことだった。
黒木君の静かな声で、立ち止まる。

刹那、カシャリ、という音がいくつも響いた。

下を見ると・・・・。
なんと、卵が落っこちて割れていた。

うわっ、なにこれ、臭いっ!
腐ってる。この卵、絶対腐ってるっ!

「まて、お前っ!」

横の茂みに隠れて行った影を、若武が追いかける。

そして、しばらくして戻ってきた。

「ほら、お前、謝れよ」

若武が連れてきたのは、スラッとした長い髪の女の人だった。

べチン、という音とともに、私は少し後退する。
頬が痛くて熱くて。あぁ、叩かれたんだな、というのが分かった。

「お前....目障りなんだよっ!」

「っっ!!!」

痛い。凄く胸が痛い。
何回も言われた言葉。
なのに、体中がジクジクと悲鳴を上げる。

「黙れよ」

ばっと顔を上げると、若武が私を守るかのように目の前に立っていた。

「おまえさあ、こいつの何もしらねー癖して寝ぼけたこと言ってんじゃねーよ!」

「アーヤ....立花は、俺たちの大切な仲間なんだ」

・・・・ありがとう、2人とも。

「ふざけないで....!こいつに魅力なんて無い。脳なしの役立たずじゃない!」

苦しい。

苦しいよ。

私の能力は、確かにみんなより劣る。

でも、私なりに頑張ってきた。
小さな小さな成果を、ずっとずっと積み上げてきた。

そのすべてを今。

否定されたんだ。

「そろそろ、怒ってもいいかな」

黒木君だった。

さっと顔を見ると、ものすごい重圧を放っていた。

「結構、ムカついてるんだけど」

そう言って、女の人に笑いかける。
冷たく、凍てついた笑顔だった。

「っっ!!!」

女の人は、走り去っていった。



「おいっ!大丈夫か、アーヤ!」




そういえば....なんか....ぼうっと....す、る・・・・。

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ゆうな - すごく面白かったです探偵チームの信頼がグッド詰まっているお話でした (2021年8月20日 0時) (レス) id: 9c262f26ff (このIDを非表示/違反報告)
#モモ# - 次の作品も楽しみにしてます! (2021年8月16日 21時) (レス) id: a8579e89ad (このIDを非表示/違反報告)
おれんじ - お疲れ様です (2020年4月9日 18時) (レス) id: c350fd39bf (このIDを非表示/違反報告)
(〃ω〃) - 俺たちの、大切な大切な天使なんです(上杉)(〃ω〃) (2019年8月20日 19時) (レス) id: 3d3f2d0827 (このIDを非表示/違反報告)
上杉 亜沙美 - とても良いお話でした。 (2019年8月9日 10時) (レス) id: eea7cb4a8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結花@Project KZ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/santsuguji2/  
作成日時:2019年3月29日 19時

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