元祓い屋の現怪異。参

＠１１６ ページ24

しばらくは暇な日々が続いた


期末試験ということもあってネネもトイレ掃除に顔を出さなくなった


あまねは必死に来させようとしてたけどそれはわたしが食い止めた


花子「なんで！A！！」


『貴重な勉強時間トイレ掃除に使わすんじゃない！』


花子「だってえええええ！！」


『だってもなにもない！』


花子「Aが厳しい…！！テスト期間め…！」


でも光とはちょくちょく会ってた


図書室で勉強してるところを無理やり押しかける形だ


光「お前…ほんとどっか行けよ…」


光は迷惑そうだけど知らない


『まあそんなこと言わずに…あ、そこ違う』


光「どこだ！！」


案の定がっつく


『大問3の(4)。移項し忘れてるよ』


そう言うと光はノートと教科書を睨めっこしてから、はっと顔をあげた


光「お前………頭いいのな…」


『お姉様とお呼び』


光「絶対呼ばねェ」


『あと2つ間違えてるところあるけど教えない』


光「教えろください！お姉様！！！」


「そこ、静かにー」


光「すみませんでした！！」


でかい謝罪と共にクスクスという笑い声も聞こえた


光「……………あ、そうだ」


光はぼそっと呟いてカバンの中を漁る


光「…これ、やる」


そう言って渡されたのは1本のボトルだった


『…なあに？これ』


光「無事帰れたら渡したいもんあるっつったろ、それだ。金属磨くやつ」


ピンク色の液体が入っている


独特な匂いがした


光「楽器に使うやつだから素材にも優しいし…」


なんでこれなんだろう


嬉しいけど


不思議そうな顔をしてるのがバレたのか、光が立ち上がった


光「っだーー！もう！お前の簪！！汚れてんだろ！！簪やるってのも考えたけどお前それ気に入ってるっぽいし！！」


『……！！』


簪に触れるとざらりとした手触りがあった


光「大体のサビは取れるらしいから…その…大事に使えよ」


光が少し赤くなった顔でそう言った


『……うん！ありがとう！！！』


矛にも使ってみよう


わたしもなにか光にお返ししたいなあ…


テストが終わったらお菓子作ろうかな


『あ、その答えは符号逆だよ』


光「まじかよ」


光は大人しく座り直して勉強を再開した


貰ったボトルをしっかりと握りしめて、はにかむ顔を俯いて隠した

＠１１７→←＠１１５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す