元祓い屋の現怪異。参

＠１１３ ページ21

つかさ「冗談だって〜」


にっこにこ笑いながらつかさくんは言う


正直わたしはまだ心臓がバクバクしてます


つかさ「Aにありがとうって言うために呼んだんだよ」


『あー、色んな顔見せてくれてありがとうってやつですか？』


つかさ「そう！Aったら分かってる〜」


笑い事じゃないぞ


つかさ「四番に頼んでさ、Aがあまねに忘れられたらどんな顔するのかなって」


『わたしだけ自 殺だったのもそういうこと？』


つかさ「そう！」


『あのさぁ…………』


軽く睨むと更ににこにこと笑った


つかさ「満足したからもうしないよ」


『…………そうですか』


この無垢な笑顔みたらなんだかんだ許してしまうんだなあ…怖いなぁ…


つかさ「最初の方はつまんない顔してたケド」


前言撤回許しません


『人の顔をつまんないとかいわないで！』


つかさ「…面白い顔してるね！」


『そうじゃない！』


つかさくんはひとしきり笑い転げるとわたしの頭にぽんっと手を置いた


つかさ「じゃあ、そろそろ帰すね」


『つかさくんってさ…よく分からないよね』


精一杯の皮肉だった


やられてばっかだから仕返ししてやりたかった


でもその意味はつかさくんには伝わらず、


つかさ「俺もAがよく分からない！」


と朗らかに返された


つかさ「たまには俺にも構ってね！」


『…手のかかる弟みたい』


つかさ「なにそれ馬鹿にしてる？」


『ごめん笑顔が怖い』


空を見上げると月の上に何人かが座っていた


なぜだか切なくなる


不意に手を引っ張られて腰を引かれた


つかさ「Aは俺が帰すの」


『そんなことできるんだ』


視界いっぱいに広がるつかさくんの笑顔


目が合うと手で遮られた


『…早くして欲しいんですが』


つかさ「もうちょっとまって…」


不思議に思ってると忙しない足音が聞こえた


花子「A！！」


『あまねの声、』


首を回して遮る手を振り払うと視界が晴れた


つかさ「……いい顔。じゃ、俺はこれで！」


『えぇ？！帰してくれないの？！』


つかさ「いくら俺でもそんなこと出来るわけないじゃん」


つかさくんが抱きしめていた腕を離した


つかさ「また会おうね、A、あまね」


それだけ言うと颯爽とどこかに行ってしまった


花子「…………あの、A…」


『…………』


そっぽを向くとおどおどと手を握ってきた


え、この雰囲気で手を握れるの？

＠１１４→←＠１１２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す