花蘇芳を飲み込んで 〈刀剣乱舞×呪術廻戦〉

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「その首、置いていけ。」





膝丸がそう睨み、他の刀剣にも囲まれて男は両手を上げた。






『反町兄さん…？』






「アンタその呼び方…てゆうか今すぐ霊力を繋ぎ直さないと！」





短刀達に囲まれキョトンとする審神者の元に反町が駆け寄る。昔の呼び方をする彼女に若干こめかみが痙攣した反町だが、それよりも先に刀剣男士への霊力供給をしなければならない。





彼等が消えずにいるのは緊急に供給した政府が貯めていた霊力。もちろんそんな一時的なものでは激しい戦闘や負傷で消えてしまう。



それを繋いでいるのは彼等の神力。それももう僅かだろう。





『私まだ審神者になってない筈ですけど、』





「はぁっ！？」




「Aさん俺等のことも忘れちゃったの！？」





甲高い声を上げる反町。驚いた虎杖も質問をするが思ったような返事は帰ってこない。
焦る反町の元に加州清光を抱えた大和守安定が近づいてきた。





「主。清光持ってみて」





差し出したのは赤い鞘の刀。不思議そうに彼女が受け取ると、微かに光り彼女の目にだけ加州が映る。





・





〈主、ちょっと失礼〉





そう言うと血だらけの彼は霊体のまま私を抱きしめた。私の服に彼の血が付いたが、特に嫌だとは思わなかった。




その後少しニコリと微笑むと私の耳に付けてある狐のピアスにそっと触れた。

彼の手には服と同じように血がついていて私のピアスにもそれが付いた。





その時─────────






膨大な量の記憶が脳に流れてきた。





気付けば彼は刀に戻っていた。




情報の多さに私の脳が熱を出して意識が遠くに飛ばされる。







・





〈初めてでしょ？鍛刀〉





〈俺っち薬研藤四郎だ。〉





〈ごめんっ、検非違使…っ！〉






〈花見には酒でしょ〜？？〉






〈ちょっと！もうちょっと可愛い服着ようよ！〉






・




「A！！」





ドサリ、と反町の方へ倒れ込んだ審神者。
男をとり囲んでいた刀剣男士も心配そうにこちらを見る。



「気を失っただけですね」




顔をのぞき込んだ伏黒がつぶやいた。
反町はAを抱え心配そうに刀剣男士を見やる。





「清光がどうにかしてくれるから僕達見えなくなっても大丈夫だよ」





「信頼してんだな！」





虎杖がにこやかに大和守に笑いかける。
既に彼等の身体は加州のように儚いものになっている。

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