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「わたくしが死ねば、その祟りも消えるでしょう」
そう言ってどこか微笑みを浮かべながら切っ先を自身に向ける白山吉光。
『それだけはやめなさいっ!!!!』
髭切に支えられるようにして立っている審神者は本丸中に響き渡るほどの声で叫ぶ。
すると、カタカタと小刻みに揺れながらもそれ以上剣が動くことはできないようだった。
それは、無意識化で使用された言霊だったのだ。
「A!!大丈夫!?!?」
『来るな』
駆け寄ろうとした五条悟にそう叫ぶ審神者。目だけで彼を殺せそうなほど瞳孔をかっ開いていた。
その様子を見て五条もやむなく足を止める。その後ろからは禪院真希と狗巻棘、彼等と共に和泉守達の姿もあった。
『君は…誰かに許してほしかったんじゃない?』
俯いていた白山が眉をピクッと動かし、ゆっくりと審神者の方を見やる。
『君の過去を知った上で私は言うよ。ようこそっ!我が本丸にっ!!』
手を広げにこやかにそう宣言する審神者にポカンと目と口を広げる白山。急な展開に頭がついていかないのだろう。
「……はっ、はははっ!」
「穢れも、汚らしいわたくしも消してくださいよっ!」
討ち死に覚悟だったのだろう。
「主っ!!」
自害が出来ないとなると、今度は審神者にその刃を向けた。叫びながら剣を突き出す白山と審神者の間には一期一振が割り込みその剣を受け止める。
威力を増す彼の邪気に私は思わず膝を付く。体中の痣も鼓動を打っているかのように熱く、痛みを伴った。
『君が手にかけた仲間の分も…藻掻いて生きてよ!』
『私が君を生かす理由は、ただ一つ!!』
『君に…君が生きた刀生を後悔して欲しくないっ!!過去ではなく未来の光を見てほしい!』
ときに雫を地面にこぼしながら、彼女は訴えかけた。
過ぎた過去をどうこう言うのは誰でもできる。
しかし、それを乗り越えて未来に希望を抱いて生きていくのが人間だ。
過去に囚われ闇に呑まれてしまえば、抜け出すことは難しい。
手を伸ばせる所にいるのなら…救い出して光を見せてあげたい。
「わたくし…貴方を祟りました」
「いつも笑っている貴方や…刀剣が妬ましかった、、」
「何故こうなれなかったのか…、、どこで間違えたのか…」
天を仰ぎ、地面に座り込んだ白山吉光。
弱々しいその背中は微かに震えていた。
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さんふね(プロフ) - プスメラウィッチさん» プスメラウィッチさんコメント有難うございます!今の所オチは決めてません。。オチを作る予定が無かったもので…五条さんコールが強ければそのようなお話になるかと思います(´▽`)これからもどうぞ宜しくお願いします (2021年7月13日 20時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月12日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
さんふね(プロフ) - 皐月さん» 皐月さんコメント有難う御座います!更新速度が落ちているこの作品ですがそのように言って頂けて有り難いです。これからもどうぞ宜しくお願いします (2021年4月23日 16時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
皐月 - 私の中で「どなたか書いてくださらないかなぁ」と、ムラムラ(笑)してた呪術廻戦と刀剣乱舞のクロスオーバー。神作品を書いてくださり、本当にありがとうございます!御無理はなさらず、更新頑張って頂けたらこれ幸いです^ - ^ (2021年4月14日 22時) (レス) id: d0dd666c8e (このIDを非表示/違反報告)
さんふね(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» コメント有難う御座います!とっても嬉しいです!!有難う御座います!(大声)今後とも宜しくです (2021年1月27日 23時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんふね | 作成日時:2021年1月24日 21時