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「膵臓癌でな。医者からは余命1年と言われている」
そう言って微笑んでみせる先生。
確かに笑っているはずなのに、とても悲しそうな笑顔だった。
先生の姿が二重に見えた。
違う、タブって見えた。
別の人と重なって見えた。
…誰と？
その人は先生より一回り小さかった。
白い入院着を着ていて、その入院着から覗く細い腕に何本か管が繋がっていた。
思い出す。
いくつかの光景がフラッシュバックする。
「A」と私の名を呼ぶ優しい声。
ふわりと頭の上に乗せられる掌。
掌の奥にある、細い肩。
その肩越しに見えるネームプレート。
蒼井一馬。
ひゅう、と息を吸い込み損ねる音がした。
いきなり視界がぶれて、先生の姿が上に動いた。
違う。私が崩れ落ちたんだ。
膝に力が入っていない。
そのくせカタカタと震える両腕。
ひゅう、ひゅう、とおかしな呼吸をしながら、私は定まらない視点で先生を見上げた。
酸素が足りない気がする。
もっと、もっと空気を吸い込まなければと身体が反応する。
息が上がっていく。
ひゅう、ひゅうという呼吸は悲鳴に近い呼吸に変わる。
くるしい。
「蒼井！」
白く濁った意識の中で、先生が駆け寄ってくるのを感じた。
口元にビニール袋があてがわれて、先生の手が背中をさする。
「蒼井、ゆっくり口から息を吸って、吐いて」
ゆっくり、ゆっくり。
先生の言葉を心の中で噛み砕いて、
自分に向かって呪文のように唱え続ける。
すると段々呼吸は収まってきて、
私はふう、と正常な息をついた。
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さな×りお(プロフ) - 緑えいたぁーさん» えぇ…ありがとうございます！ めっちゃ嬉しいです更新頑張ります！ (2019年5月3日 20時) (
レス) id: e17c1230c5 (このIDを非表示/違反報告)
緑えいたぁー(プロフ) - さなさんとりおさんの書くお話が大好きです！いつも楽しみにしています！もしかしたら歳近いんじゃないかな〜って思ったりしたりしなかったり…御二人のファンとしてずっーと応援してます！ (2019年5月2日 22時) (レス) id: 847f0c09f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さな×りお | 作成日時：2019年4月24日 22時
