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たまに優しいところもあるんだけどね ページ10

それから時が流れ、現在ではこの独占欲が強い暴君の扱いに慣れてきたAは、午前中の授業が終わると飲み物を買うために三成と自動販売機の前までやって来た。


「最近理事長が変わったでしょ?なんでも新しい理事長は賭け事好きらしくてさ、この自動販売機にスロット要素を加えたらしい。当たったらもう一本無料でもらえるんだって」


ピッとAが缶ジュースを選ぶと、デジタル形式でスロットが始まる。
スロットは七七と続いて最後は四という結果を出した。


「まあ、簡単に当たることは無いんだけどね」

「当たって欲しいのか?」

「そりゃもちろん。当たったらなんか嬉しいじゃん?」


それを聞いた三成は缶ジュースを飲むAを尻目に自動販売機にお金を投入して同じジュースを購入した。

再びスロットが始まり、平然とAの目の前で当たりを引き当てる。


「……うっそぉ」

「何が欲しい?」

「いらないの?じゃあ炭酸飲料。左近に渡して自慢しよ」


しかし三成が炭酸飲料のボタンを押すことはなく、押したのは小さい缶コーヒーだった。


「無視かい」

「何を言う。Aはこれが欲しかったのだろう?」


そう言って三成は缶コーヒーをAに渡した。

確かに午後はちょっと眠くなるからカフェインが入った飲み物が良かったかなって迷っていたけれど、何故缶コーヒーが欲しいとバレたのか。
何も言っていないのに。


「……読心術でも習得してる?」

「最初に買う時、二秒ほどこれを眺めていただろう?迷っているのだと思って」

「それだけで分かったの!?凄い通り越してもはや怖いわ!」


渡された缶コーヒーを手に取り、Aは素直に「ありがとう」と礼を言う。


「……っ!は、早く教室に戻るぞ」


背を向けるほんの少しの間に見えた横顔。
Aに喜ばれて余程嬉しかったのか、僅かに上がった口角を必死で隠そうとしている。


「(こういうところは普通に可愛いのになぁ……)」


滅多に出ない照れ顔を拝めたAは、初めに買ったジュースと三成からもらった缶コーヒーを持って、上機嫌のまま教室へと足を運んだ。

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三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!色々重なってバタバタしていましたが最近はだいぶ落ち着いてきました。以前の更新形態に戻れるよう少しづつではありますが精進します(*´∀`*) (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» ありがとうございますm(__)m無理しない程度に頑張ります! (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - お知らせ&このコメ見ました。お悔やみ申し上げます。無理せず落ち着いてからで構いませんよ?(*^^*)その間に色んな三成さまを拝みに行ってきます!変なコメントで失礼致しました! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 三楓さん» そうだったのですね...お悔やみ申し上げます。気落ちすると色々マイナスに考えがちになってしまうので無理せず自分の好きな事をしたりしてリフレッシュしながら頑張って下さい!一読者ですが応援してます!(っ`・ω・´)っフレーフレー!!! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 63a06f166a (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!実は最近身内の不幸がありまして慌ただしくしておりました。ようやく少し落ち着き、これから心の整理のためにも物語を書きたいと思います(*´∀`*) (2020年7月1日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:三楓 | 作成日時:2020年5月21日 0時

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