うちの暴君は『嫉妬深い』だけ【石田三成】

お説教の時間 ページ49

その後かすがが教師陣の中でもまともな上杉謙信先生や雑賀孫市先生などを呼んできたのでなんとかその場は治まったが、暴れていた小太郎や政宗たちはこっぴどく叱られた。

ついでにこの騒動に関与していた慶次も道連れで叱られた。


「しかし、これは派手にやりましたね」

「カラス共め。次の職員会議で備品の予算を考え直さなければ……」


荒れた教室と廊下に散乱したボールや何かの金属の破片の数々を忌まわしく睨みながら、雑賀先生は溜息を吐いた。

するとどこからともなく高笑いが聞こえ、その主に視線が注がれる。


「はっはっはー！予の知らぬ間に愉快なことになっているな朋よ！」


無邪気に笑って現れたのはこの学園の理事長である足利義輝。
織田信長前理事長をとある勝負で打ち負かし、突如この学園の理事長を道楽感覚で務めることになった男である。


「さて理事長、校舎がこのような有様になっているがどういった処罰を下すのかね？」

「処罰？何を言う久秀、このように生徒が滾り熱く燃える姿こそ学び舎の本来あるべき姿だと思わぬか？」

「おっと、これは苛烈苛烈」


足利理事長の傍らに控えているのは教頭である松永久秀先生だ。
一見落ち着いた物言いの教頭であるが、何を考えているのかよく分からない先生である。


「これらの修理費の話をしているようだな？だがその問題には及ばないぞ」

「……それはどういうことでしょうか？」

「うむ、既にこちらで業者を手配した。なに、案ずるな。経費ではなく全額、予が肩代わりする」

「ぜ、全額！？理事長、それはあまりにも」

「はっはっはー、案ずるな朋よ。予を楽しませてくれるならばそれでよし。金ならばいくらでも出そう」


寛大すぎる足利理事長の沙汰に、正座を命じられていた七人(小太郎、政宗、幸村、三成、左近、家康、慶次)のうち、政宗が最初に口を開いた。


「成金かよ足利のおっさん」

「その金でどれほどの甘味が食せるのでござろうか」

「いやいや、甘味どころか一生遊んで暮らせるに違いないよ。なっ、夢吉」

「三成様、足痺れてきたっス。俺らいつまでこうしていればいいっスかね？」

「秀吉様のご尊顔を思い出せ。痺れなど一瞬で無くなる」

「それお前だけだと思うぞ三成」

「秀吉様を侮辱するのか家康ッ！」

「煩いぞカラス共！少しは反省しろ！」

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