うちの暴君は『嫉妬深い』だけ【石田三成】

ズルは駄目です ページ41

廊下から死角となる壁を盾にして隠れていたAの元へ三成と直虎が言い争いながら向かう中、左近は鶴姫を見てふと思いついた。


「姫さんって確か占い得意じゃなかったっけ？」

「はい。人探しから恋愛相談までどーんと来いです☆」

「実はある物を探していてさ、それがもしかしたらゴミ箱の中にあるかもしれねぇの。でもさっき直虎ちゃんが言ったようにゴミ箱漁るのもちょっとあれなんで、本当にここにあるか占ってくんね？」

「それはいいですけど……ちなみに何を探しているんですか？」

「えっと……なんつーか、シールが付いた鍵、的な？」

「なんだその全体的にふわっとした探し物は」


かすがから的確な指摘を受ける。
だがここで余計なことを言えばまたあらぬ誤解を受けてしまうだろう。
すると隠れていた壁から話を聞いていたAがひょっこりと顔を出した。


「その鍵ってもしかして伊達先輩や真田先輩も探してるやつ？」

「え、なんで知ってんの？」

「少し前に今左近たちがいるところでばったり前田先輩に会ったからその時に聞いた。かすが先輩たちもその場にいましたよね？そのあと鶴姫ちゃんが風魔先輩追っかけて行ったから」

「ああ、あの時か」


Aの近くにいた直虎がどうでもよさそうに呟く。


「確かに前田は鍵を持っていたな。見せびらかしてきた拍子に変なテープがくっついていたからそこで捨てていた気がする」

「あ、じゃあゴミ箱の中にあるのはシールの残骸ってことか。じゃあもう地道に探すしかないっスね！」

「ヤレ、困った困った」

「でも前田先輩はなんか野球部とサッカー部と生徒会が宝探しみたいなことしてるって言ってたけど、それとシールに何の関係が……あ、もしかしてシールに何か細工でもしてた？」


疑心暗鬼な眼差しを向けられた三成は少し顔を逸らしてニヤける口元を片手で隠す。


「そんな眼差しで見るなA。興奮する」

「何を言ってるんだこの男は」

「ごめん直虎ちゃん、いつものことだから気にしないで」

「さて、地道に探すぞ三成。プライベートから役員としてのヌシに切り替えよ」

「Aが心配だ。Aも同行させる」

「ヌシが集中しなくなる。Aは置いてゆけ」

「私は拾われた捨て犬ですか」

徹夜確定→←悪因悪果

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す