乙女の憂鬱 ページ33
とある女子生徒は憤慨していた。
束ねられた長い黒髪を揺らしながら、騒々しい学園内の廊下をズカズカと歩く。
凛々しさよりも思わず怖気付いてしまうほどの気迫が勝ってしまうのは彼女が竹刀を片手に携えているからだろう。
彼女の名前は井伊直虎。
男嫌いの一年生である。
「何故男というものはこんなに煩いんだッ!」
放課後、サッカー部やら野球部やらの声が響くグラウンドを窓越しに睨みながら、直虎は苛立ちを隠せずにいた。
「直虎ちゃんは男の人が嫌いなんですか?」
「煩いのは特に大っ嫌いだッ!そもそも男というのは寡黙であるべきだと姫巫女殿もそう思わないか!」
同じ教室で想い人である『宵闇の羽の方』との相性を占っていた鶴姫は、少し考えてから自分の想い人について語り始めた。
「確かに寡黙な男性は魅力的ですよね。特に宵闇の羽の方!あのお方は私がピンチの時に颯爽と現れ、お礼を言う前に去ってしまう……。クールさの中に優しさがあるんですよね!キャッ☆私ったらまたあのお方のことになると饒舌に……」
「あ……ああ、なるほど。姫巫女殿は好い人を見つけたのだな。にしてもこの学園の中で運命の相手を見つけるとは……。私には到底無理な話だ」
「そんなことないですよ!直虎ちゃんはまだ出会っていないだけです!」
「いいや、この学園を見ていれば分かる。どいつもこいつも将来性の無い男ばかり!」
「うーん……あ、そうだ!ここは現役の方に話を聞いてみるのはどうでしょう?」
キョトンとする直虎を差し置いて鶴姫は突然教室を飛び出した。
数分も満たぬうち、彼女はある人物を連れてくる。
「隣のクラスのAちゃんです」
「え、なになに?私何されるの?」
「姫巫女殿、そしてA殿本人を目の前にしてこんなことは言いたくないが……A殿は全く参考にならない!」
「よく分かんないけど出会い頭に辛辣過ぎる!」
事情を聞かされないまま直虎に怒られたA。
すぐさま鶴姫がフォローを入れる。
「ある意味スペシャリストですよ!Aちゃんは彼氏さんに合鍵を渡しているんですから!」
「あ、あああ、合鍵だと!?が、学生の分際で気が早すぎるぞ!」
「そのネタまだ引きずってるの!?違うって!あれは三成が勝手に作っただけだってば!」
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三楓(プロフ) - 紫月姫さん» コメントありがとうございます!色々重なってバタバタしていましたが最近はだいぶ落ち着いてきました。以前の更新形態に戻れるよう少しづつではありますが精進します(*´∀`*) (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» ありがとうございますm(__)m無理しない程度に頑張ります! (2020年7月6日 14時) (レス) id: fa2fc96bb4 (このIDを非表示/違反報告)
紫月姫(プロフ) - お知らせ&このコメ見ました。お悔やみ申し上げます。無理せず落ち着いてからで構いませんよ?(*^^*)その間に色んな三成さまを拝みに行ってきます!変なコメントで失礼致しました! (2020年7月3日 21時) (レス) id: 9da1b7754e (このIDを非表示/違反報告)
シナシグ(プロフ) - 三楓さん» そうだったのですね...お悔やみ申し上げます。気落ちすると色々マイナスに考えがちになってしまうので無理せず自分の好きな事をしたりしてリフレッシュしながら頑張って下さい!一読者ですが応援してます!(っ`・ω・´)っフレーフレー!!! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 63a06f166a (このIDを非表示/違反報告)
三楓(プロフ) - シナシグさん» コメントありがとうございます!実は最近身内の不幸がありまして慌ただしくしておりました。ようやく少し落ち着き、これから心の整理のためにも物語を書きたいと思います(*´∀`*) (2020年7月1日 3時) (レス) id: ed4329dbeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三楓 | 作成日時:2020年5月21日 0時