#期待8 ページ9
.
短い髪だが、風で揺れればやはり邪魔である。
最悪だと思う。湿気を含んだ風に当たり、こんな日に吸う煙草はとても不味い。
定置位置のベランダの端に移動する。
いつもの、煉獄さんとお隣の方へ。
扉が開かれる音がしてどきりと鼓動を鳴らしてみれば。
「……あ、こんに、ちは?」
「……どうも」
声を出すことはなかったが女性が急に出てきて驚いた。
普通に考えれば煉獄さんの彼女さんだろう。多分。
でも……いやぁ……この方が煉獄さんに平手かました彼女さんかと思うと……。
「女って怖ぁ」
「え」
「独り言なのでどうぞお気にせず」
私自身お得意のポーカーフェイスを張り付けて漏らしてしまった言葉をかき消そうとする。
疑問に残らない事などないだろうが。
「花川さんは、喫煙者さんなんですね。カッコいいです」
苦手なタイプだとこの瞬間悟った。
私は早川だし名前間違えるとか、
ないわ〜〜
煙草がカッコいい?身体悪くするだけなのにそういう若人がコレにずぶずぶ沼って行くんだよ。
学生時代からこのような女は嫌いだった。だから辛口になってしまっているだなんて
本当に最悪な女だな、私。
「そうですか、カッコいいだなんて言ってもらえて嬉しいです」
先ほどの言葉を飲み込みながら自身の考えたことを言うこと出すことも無く、言葉を返す。
「花川さんは、ご夫婦で暮らされているんですよね?」
「はい。主人と2人で」
なんとなく、この女性のしたいことが分かった気がする。最近自分の彼氏が隣に住んでいる住人、しかも相手は女と仲がいいのが嫌、もしくは気になるのだろう。
束縛強い女性は男に逃げられるか愛情が離れるだけ。共依存という言葉もあるがそれはほんの一部の男女の話だ。
「煉獄さんとはいつご結婚なさるんですか?」
「え!?け、結婚だなんて!」
満更でもないような様子ではしゃぐ女性。
煙草を手すりに擦り付け、風に乱される髪の毛を押さえて続けた。
「煉獄さんが言ってらっしゃったんです。世界で1番といってもいいほど彼女さんが大好きだって。微笑ましいですね」
「そうなんですか?!花川さんにそんなこと言っていたなんて……恥ずかしいけど嬉しいです」
幸せ絶頂にいると思えただろうか。
これで彼にもっと尽くすのだろうか。
彼はそれに寄り添えるのだろうか。
「お幸せになって下さいね」
.
58人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚葉(プロフ) - 初めまして。大人の世界観が好きです。更新楽しみにしています!! (2021年10月18日 18時) (レス) @page8 id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ